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2009年10月25日日曜日

第61回 正倉院展



昨日、正倉院展初日でしたが、オータムレイトで混みあう前の時間帯が狙いめではと
夕方17時頃に博物館へ行ってまいりました。

やはり待ち時間0分ですんなり入場でき
展示ケースの廻りも一重の人垣程度でしたので
ゆっくりと鑑賞、堪能することができました。

鑑賞記はさておき、待ち時間などを先に書きましたのは
仕事柄、お客様に「どの時間帯に行くのが一番いいですか?」とよく尋ねられますもので。

過去の奈良倶楽部の予約状況から見ても
11月初めにNHK「新日曜美術館」で正倉院展を取り上げられた直後は予約の電話が集中します。
もし行かれるのでしたら、できれば10月中の夕方頃がお勧めではと思います。

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さて、正倉院展を鑑賞した感想なのですが。
感覚的な言葉で言い表すなら
私にとっては、この展覧会だけは「オーラ」が違うのです。
(もし展覧会オーラというものがあるとしたら)

1000年以上も前のものが、これほど丁寧で繊細でデザイン性に優れていて
色彩ひとつ取っても、こういう配色でくるか、と。精巧な細工の技術も素晴らしいけれど
デザインや色合いなどの美的センスというか、とにかく美意識の高さに毎回感嘆の声を上げています。

美しいものに触れるのが大好きなので、昨日も、心の芯に明かりが灯ったような感覚を抱いて
満ち足りた気持ちで会場を後にしました。

  

  
好きな色だったり形だったり図柄だったりを図録の写真からピックアップ♪
今年は工芸品の出陳が多かったので、工芸好きにはたまらない、観ていて楽しい展覧会でした。

また、刀類の展示も多かったのですが、どれもこれも実用のものなのに
これほどの装飾をするのかと感心しながらもうっとりと眺めていました。
 ←この金銀鈿荘唐大刀の装飾のセンスの良さには脱帽でした。
こういう、聖武天皇遺愛の太刀は百口ほど宝庫に納められたそうですが
恵美押勝の乱(764年)の際に出蔵されてほとんど戻ることがなかったとか。

今年、天皇陛下御即位20年記念の出陳としては
宮中で正月初子の日に、その年の豊作を祈願して行われている農耕や養蚕の事始めの儀式。
今も天皇皇后両陛下によって執り行われている儀式だそうですが
その儀式用の鋤や、蚕室を掃き清める箒などが展示されていたのは興味深かったです。

下の写真左は、鋤と鋤先の美しい文様。
写真中の箒の根元には、紫色に染めた鹿革が巻かれ、その上に金糸が。
枝先にはガラス玉が挿し込まれている。
写真右はその箒を立てる台。色や柄はキュンとなるくらい素敵。
  

 ←漆花形箱はちょっと気になるデザイン。
2種類の花形箱を交互に四口ずつ八口配列すると
全体の形は大きな八稜花形となる盛り分けの器。
遊び心が感じられて好きです。

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正倉院に伝わる宝物は本当に保存状態が良くて
一昨年の正倉院展鑑賞記にも記したように
・・・1250年以上も前の品々が、このような美しい状態で保存され残っているという事実に まず敬意を、
そしてこうして1250年もの間、脈々と次世代へ繋いでいくという意志や知性に、
日本人としての誇りを感じました。・・・と、毎回感じ入っているのですが
保存のための修復や補修、新補もされているわけで、下の写真の、花鹿が配された金銀花盤も
皿の縁から垂れる飾りや脚は明治時代の新補だそうです。



会場で観たときに感じたちょっとした違和感を帰宅してから図録で確かめたのですが
新補や修復の部分がある場合などは、その旨キャプションに書いておいていただければ
いいかなと思いました。

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夫は本日、日曜日ですが、夕方17時頃に行ってきました。
帰宅した夫に混雑具合を聞きましたら、それほどの混雑はなく
ゆっくり観られたということ。
二人で感想を話し合いながらの夕餉はオツなものです。
ちなみに夫は、男性の視点からか、刀類の素晴らしさが一番印象に残ったそうです。

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光明皇后御書「楽毅論(がっきろん)」の最後に署名された「藤三娘(とうさんじょう)」について。
「藤三娘」というのは藤原氏の三女の意味で、藤原不比等の三女である光明皇后のこと。
この時、皇后は44歳でした。

藤原氏の出であるということをこういう形で強調されることに
私は最初、ちょっと戸惑いを覚えました。
皇后という立場で44歳という年齢でありながら
未だ実家の名前を堂々と出してこられるという感覚を不思議に思ったのですが
この時代の藤原氏と天皇家の関係など複雑な政治的背景が関連もしているのでしょう。

(もし現代のこういうお立場の方が、同じように実家を持ち出した形の署名をされたなら・・・
マスコミで結構なバッシングにあわれるのではないかなと思ったり。
反対に、奈良時代にはこういう方もいらっしゃったのだから
それほど我慢されなくてもいいのではないでしょうかとも思ったり。)

こんな些細な理由で興味を持ちながら学識的なこともあまり知りませんので
会期中の「公開講座」なども受講してみたいと思っています。
(でも時間が取れるかどうかわかりませんが・・・。)

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こちらはオータムレイトチケットを購入したときにいただける記念品。
上が今年、下が昨年の記念品です。
昨年は60回目の記念の年ということで第一回目の入場券をデザインした栞でした。
61回目の今年は第二回目の入場券のデザインになっています。



(オータムレイトの前に入場しましたので、会場を出てからもう一度
この記念品ほしさにレイトチケットを購入したのですが小中学生用チケット購入でも付いてきますので。)



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いつものことながら、とりとめなく長々と書いてきました。
まだ書いていない、他にも
写経事業に従事した人たちのこととか、越前国のちょっと可笑しい名前の村のこととか
何だかかんだか色々なことを、行ってこられたお客様達との会話の中で楽しもうと思っています。

「第61回 正倉院展」の詳細は奈良国立博物館のサイト
でお確かめ下さい。
公開講座や会期中のイベントなどについても掲載されています。

2009年10月24日土曜日

東大寺境内の校倉をご案内☆



正倉院についての記事が続きましたので、今日も関連記事を少し。

正倉院と同じ校倉(あぜくら)造りの建物が
東大寺近辺に、他にもあるのをご存知でしょうか?
実は、全部で6棟もの校倉造りの建物があるのです。

よく目に触れるのが、法華堂(三月堂)と手向山八幡宮の近くの校倉。
ここには2棟の校倉が建っていて(下の写真の③と④)
柵や塀で囲まれていませんので、すぐそばで
三角形の木を組み立てた校倉造りの構造をじっくりとご覧いただけます。
2棟とも天平時代に建てられたものです。

それから意外と知られていないのが
正倉院のそばにもう一つの校倉造りの建物があるということ。(写真②)
木立に覆われて、ちょっとわかりにくいですが
正倉院を見学する時に左手奥の方にその建物が見えますよ。

では今まで撮りためた写真で ご案内いたしましょう。

 ①ご存知、正倉院。

 ②正倉院の南の方にも校倉があります。

 ②ズームで撮影した正倉院の構内にある聖語蔵。

 ③法華堂経庫(重文)です。左側が法華堂。

 ④手向山八幡宮南側に建つ手向山八幡神輿庫。

 ⑤勧進所内、八幡殿左に建つ勧進所経庫(重文)

 ⑥東大寺本坊経庫(国宝)

上の写真の⑤と⑥について。
⑤の勧進所経庫は先日(10/5)の転害会の時に八幡殿が特別公開された時に撮影したもの。
⑥の本坊経庫は8/6の「理源大師坐像特別開扉」時に撮影されたもの。
両方とも普段は非公開です。

では、最後に①の正倉院外構の公開について。

・普段の公開は、月曜〜金曜の毎日。10:00~15:00。(祝日と年末年始を除く)
・正倉院展開催中はその期間中全日。10:00~16:00。
どちらも参観無料です。

正倉院展をご覧に奈良国立博物館まで来られたら、もう少し足を延ばして
ぜひ正倉院まで見に来てくださいね。

また、ちょっと残念なお知らせですが
正倉院の屋根瓦の葺き替えが2011年度から2年計画で行われますので
期間中、建物は覆いが被せられて見学ができなくなります。
ということで、是非この機会にご覧になってくださいね☆

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東大寺だけではなく、唐招提寺にも校倉が二つ残っています。

 

宝蔵と経蔵。ともに天平時代に建てられた校倉造りです。
特に、経蔵は寺創建以前の新田部親王邸の建物を改築したものと推定されていて
正倉院よりも古いと云われています。宝蔵、経蔵ともに国宝です。

しかし、それにしても、私の写真の撮り方といったら!
何故か真正面からの撮影をいつも外していますね。
せっかく撮っても写真がわかりづらくて申し訳ないです。

 唐招提寺の校倉ですが三角の木材の木組みはこのような感じです。

こんな風に、何気に天平時代の遺構がそこに存在している・・・。
普段は当たり前のように見ていますが
こういうこと自体、奇跡に近いすごいことなのではと、ふと思ったりしています。

2009年10月23日金曜日

正倉院と正倉院展にまつわる物語〜その2


昨日の続きです。

正倉院の建物に守られ1250年以上も昔の宝物が奇跡のように保存されている。
その宝もののどこが、何がすごいのかという話を中心に、正倉院展の歴史など
講座でうかがったお話をご紹介いたします。

◇正倉院展について

2009年今年、正倉院展は61回目を迎えます。
毎年秋に奈良国立博物館で開催される、この正倉院展は、どうして始まったのでしょうか?

第一回正倉院展は戦後昭和21年に開催されました。
戦争中に奈良国立博物館に疎開していた宝物が正倉院に返される前に
敗戦で希望を失った国民に公開することによって
このような宝物を持っている、そして守ってきたのだという誇りを与えようと開催されたそうで
疎開していた267件中、33件が展示され、20日間で約15万人が入場されました。

この第一回正倉院展をご覧になった知足院住職守屋長老の思い出話は
とにかくすごい人出で、半日以上も、博物館の廻りを何重にも並んだ記憶があり
開館時間も延長されたそうです。
下駄履きが駄目で裸足で入館したという思い出話も聞かせていただきました。

◇それまでの宝物公開の歴史

・明治5年 約40年ぶりに開封。
・明治8年 奈良博覧会。
      222件の宝物が大仏殿と回廊で展示され80日間で約17万人の人出。
      以降 明治13年までに4回展示。
・昭和15年 東京で初の一般公開。約150点展示。
      20日間で約42万人の人出。

第一回から第60回までの正倉院展では、途中2回東京で開催された以外は奈良で開催。
奈良での開催の延べ入場者数は約740万人。
展示された宝物は延べ4260点。重複を除くと2400件。
これは正倉院に納められた宝物約9000件のうちの1/4に過ぎず、まだまだ未公開の宝物が多いのです。
そして、宝物は一度出陳したら、その後10年間は出陳を休むようにされているそうです。

◇正倉院宝物について

倉橋編集長が「あかい奈良」の取材で、正倉院展に関わった方々にお話を聞いて印象に残ったこと。
それは、どの方も皆さんが、正倉院の宝物に対して
大変愛情を持った言い方をされていたことが、とても印象深い出来事だったそうです。

例えば、ある先生は
「(宝物が納められていた)唐櫃が足付きで床から離れていてくれた」という表現をされたそうで
そこに「納めた方の心」を感じ、「守ってきた人々の心」「守っている人々の心」
「愛情」を感じたそうです。

これは私自身も正倉院展で毎年感じることであります。
一昨年の日記にも感想として次のような文章
・・・1250年以上も前の品々が、このような美しい状態で保存され残っているという事実に
まず敬意を、そしてこうして1250年もの間、脈々と次世代へ繋いでいくという意志や知性に、
日本人としての誇りを感じました。・・・
を書いているのですが、本当にそうですね。

正倉院宝物の何がすごいかというと
これらの宝物は、たまたま発掘されて土中から出てきたものではなく
人によって意識的に守られてきた伝世品であることがすごいことなのです。

たしかに中国やエジプトやペルシャやと、1250年どころではない4000年5000年と
もっと古い時代の遺跡はたくさんあるけれど、これらはみな発掘品であり
土中に埋まっていたことから、その輝きを失ったガラス器などもあります。
(昨年のポスターになっていた、あのガラス器もそうだけど)

「人から人へと、時代が移っても、心を繋ぎながら守り伝えていく」
こういう意志や知性こそ誇りに思えることではないかなぁと
今年の正倉院展でも、きっと同じことを感じて鑑賞することでしょう。
明日からの正倉院展、楽しみなことです。

◇「こより」の話

倉橋編集長のお話の中にも「こより」についてうかがったのですが
正倉院宝物の研究に携わってらっしゃるお客様にも同じお話を聞きました。

宝物修理の際に、宝物自体には正倉院関係者以外の方は手で触れることができませんので
研究者の方は、「ちょっとそこを右に回して下さい」というようにお願いして動かしてもらうそうです。
その時に、「ちょっとそこ」と指差すことは絶対だめだそうで、必ず「こより」で指し示すように
なっているということです。(そういう紙縒りがたくさん用意されているそうで)

また、実際に仕事に携わる時間も午前に2時間、午後に2時間と決められていて
それ以上に時間をかけても集中力が落ちて、何か不備が生じてはならないから
そういう風になっているということでした。

こうして日々の中でも小さな気配りをされて、これからの千年、二千年先まで守り伝えるために
地道な努力を積み重ねてらっしゃるのだと感心した次第です。

トップの画像は正倉院北側の塀の様子。

2009年10月22日木曜日

正倉院と正倉院展にまつわる物語〜その1



「あかい奈良」編集長が案内する「まほろば奈良散歩」第2回目の講座

〜東大寺知足院にて『正倉院の宝物をめぐるココロの物語』〜

先日10/16に参加した講座の内容を少しご紹介します。

東大寺大仏殿から、正倉院そばの知足院へ場所を移して
正倉院と正倉院展について、興味深いお話を色々うかがいました。

あかい奈良」の倉橋編集長のお話はとてもわかりやすく
また知足院住職守屋長老のお話もユーモア溢れて含蓄に富み、楽しい時間を過ごすことができました。
お二人から伺ったお話の中から、ちょっと面白そうなこぼれ話的な話をいくつか拾ってみますね。
(※グレー字の文章は今回の講座で話された内容ではなく、私が加筆したものです。)

◇まず「正倉院」の建物について。

正倉院の「正倉(しょうそう)」というのは普通名詞で
元々は東大寺の正倉(正税しょうぜい を納めておく倉)だった。

創建年代は不明ですが、記録によると759年以前には存在したらしい。
(唐招提寺にも正倉があり、こちらはそれより古いことが確認されている。)

正倉院といえば校倉(あぜくら)造り。
この校倉造りという構造が1250年以上の長きに渡って、ここに納められた宝物を
守ってきたと伝えられています。

小学校で習った記憶では、使用されている檜材が湿度によって膨張したり収縮したりして
庫内を一定の湿度に保ってきたことがよかったと学習しましたが
実は木材がそれほど伸びたり縮んだりすることはなく(そう言われればそうですよね^^)

・校倉造りの構造自体、通気性がいいということ。
・地上2.2mの高床式であるということ。
・さらに、中の宝物が足付きの杉の唐櫃に納められていたということ。
これらの要因が重なり、永い年月に渡って納められた宝物が守られてきたわけです。

・また、「勅封(ちょくふう)」といって、天皇の許可がないと開けられなかったのも
 保存にとってよかったということ。

「勅封」になったのは、北倉は当初から、中倉は平安時代から、南倉は明治8年からなっています。

現在はこの正倉院の中に宝物は納められていず、
空調管理の行き届いた東宝庫(昭和28年から)と西宝庫(昭和37年から)に保存されています。
そして西宝庫が勅封倉になっています。

◇正倉院の曝涼(ばくりょう)について。

曝涼とは、簡単に言えば、宝物等の陰干しのことで、
明治16年以降、毎年1回、気候の安定している今の季節に行われることが制度化されました。
そしてこの機会を利用して、一部の宝物を奈良国立博物館に展示して、一般に公開しているのです。

この曝涼のために、10月中旬のご開封と、11月中旬のご閉封の時には
勅使として侍従 が派遣され、開封の儀、閉封の儀が執り行われます。

守屋長老は東大寺の長老として何度かこの儀式に立ち会われたそうで
天皇の名前が書かれた紙が勅封紙として奉書紙の中に入れられて宝庫の錠に封印されるというのが
(要するに紙で巻かれた状態が錠をかけた状態ということ。)
閉封の儀であり、翌年の開封の儀の時には
宝庫の錠につけられたこの勅封紙を点検し無事を確かめて、奉書紙を切って開けるそうです。

このように勅封であったからこそ守られていた宝物の数々。
ただ、中にはユニークな方もいらっしゃったそうで
ちょっと琵琶が必要だから正倉院の宝物の中から借りようとか、そういう天皇もいらっしゃって
嵯峨天皇の時代、借りた琵琶より立派にしてお返しされたという話も聞きしました。

また守屋長老が若い頃に祖母から聞いた話として
大正時代には正倉院の塀がなく、知足院の石段を下りて行くと
そのまま真っ直ぐ正倉院の校倉の所を通り抜けて町へ出て行ったということ。
その時に校倉の高床の下には浮浪者がいて、冬には焚き火をしていたこともあったそうで
この話には参加者全員がびっくり。今なら考えられないことですが
正倉院向かって左の床下には焦げたような痕があるそうですよ。(本当かなぁ・・・。)

と、このように、守屋長老のめったに聞けないお話も交えて
知足院で参加者の皆さん達と膝つきあわせて和気藹々と講義が進みます。

この後は、正倉院に伝わる宝物と正倉院展についてのお話になるのですが
長くなりますので、こちらは明日に続くことにします。

::

ちょっとだけ余談ですが。
今の曝涼の期間中しか、宝庫から宝物を出すことができませんので
宝物の修理や研究などは、今の時期に集中して行われます。

正倉院に近い立地ということもあるのでしょう。
毎年この時期に研究者の方が奈良倶楽部にもご宿泊下さいます。

毎年、決まったテーマがあるのかどうかはわかりませんが
今年は「動物の毛」についての研究者の方。
正倉院に伝わる筆に使われている毛が、どういう動物のものかを調べたりするそうです。
楽器や染色の研究者の方がいらっしゃった年もありました。

と、それだけの話なのですが
1250年の時間の流れの中で脈々と、人の手によって、意識的に守られ
次世代に伝えていくという、その中のひとつの出来事の
まだその廻りで少〜しだけ関われているということが自分の中でちょっとだけ嬉しかったりするのでした。

トップの画像は今日の大仏池の様子です。
随分と秋色めいてきましたね。

2009年9月20日日曜日

今年の正倉院展のチラシは・・・

とっても美しい!

      
          
            
                

ビジュアルデザインが綺麗なチラシ。
しをんさんが、奈良倶楽部のお客様用にと、たくさん持ってきて下さいました。
 
奈良国立博物館で開催中の平常展「仏教美術の名品」展を鑑賞してこられた しをんさんによりますと
今回の平常展では、東京大学・東洋文化研究所が所蔵する貴重な書物や
私が好きな仏教絵画の展示が充実の内容だそうで
必見の価値ありの素晴らしいものだそうです。
詳しくは、しをんさんのブログをご覧ください。
(・・・・うん、確かにお薦めの展示内容ですね。行ってみますね!)
今朝の毎日新聞奈良版にも少し記事がでていましたのでこちらも参照して下さい。
(この展示は10/4までと会期が短いのでご注意下さいね。)

それにしても、正倉院展チラシの見飽きぬ美しさったら!
天皇陛下御即位20年にあたる今年は、皇室ゆかりの品々や優れた技術に彩られた66件の宝物が展示されます。
このチラシを見ても、力の入った展示内容になると想像して、今からわくわく楽しみにしています。

このチラシの写真に掲載されている楽器は「紫檀木画槽琵琶(したんもくがそうのびわ)」。
ペルシア起源の四絃四柱(しげんしじ)の琵琶5面のうちの一つで、13年ぶりの出陳です。
背面に は華麗な木画、捍撥(かんばち)には狩猟宴楽図(しゅりょうえんがくず)が表され
パルティアンショットがひときわ異国情緒を漂わせています。(奈良博のHPより抜粋)

この他に、光明皇后直筆の「楽毅論(がっきろん)」など
皇后44歳の、そのお人柄が偲ばれる筆致もとても楽しみにしているのです。
それから、花のような角を持つ鹿の文様の銀製大皿「金銀花盤」も楽しみですしね。
う〜ん、今から奈良博のHPを見て色々予習しておかなくっちゃ♪

「第61回 正倉院展」

会 期平成21年10月24日(土)~11月12日(木) 全20日
会 場奈良国立博物館 東・西新館
休館日会中無休
開館時間午前9時~午後6時
※金曜日、土曜日、日曜日、11月3日(祝)は午後7時まで
※入館は閉館の30分前まで












2008年10月31日金曜日

『鳥毛立女屏風』へ・・・熱きロマン

正倉院展に毎年来られるお客さまの中で、
奈良倶楽部オープン当初くらいから毎年お越しいただいているTさん。

今年でもう40回以上は通いつめているとおっしゃってました。

80歳を越えてなお毎年奈良まで来られる魅力って何ですか?と
お尋ねしてみました。

「20年ほど前に見た『鳥毛立女屏風』の美しさが忘れられずに
もう一度見てみたいと足を運んでいるんだ。」
「今年は60回記念の年だから、ひょっとして出てるかもと
期待したんだけど出てなかったね。」と残念そうに、でも
「絶対もう一度観ることができると確信しているんだよ。」と力強く
おっしゃってました。

う~ん、よくみるとこの天平美人、Tさんの奥様に似ている。。。



この日記を書くのに『鳥毛立女屏風』で検索してみたら
読売新聞のこんな記事が見つかりました。


正倉院の宝物を、人から人へ後世まで「伝える」ということに
その時代時代でたゆまない努力が成されてきたのですね。。。

小さなホテル奈良倶楽部

2008年10月27日月曜日

正倉院展の中で思いついたこと~memo~

昨日の日記で書きそびれたこと*少しmemoとして。



◇正倉院展会場内混雑緩和策のひとつとして◇

鑑賞券の価格を現状の1000円から1500円にアップして
あまねく音声ガイド(500円)を無料で付ける。

心の隅でちょっと思ってること「正倉院展の観覧券は安すぎる」
あれほどの宝物の数々、1250年以上も前の素晴らしい宝物を
鑑賞するのに、他と比べるのもなんだけど、同じ奈良博での
『西国三十三所展』1200円よりも安いし、東京の私立美術館
たとえば森美術館などは1500円。。。比べてみると
展示物の価値からしても安すぎると思うのです。

それで、なぜイヤホンを付けて販売するかといいますと・・・

会場内の展示物の陳列ケースのところで、混雑しているなあと
感じたところのほとんどが、音声ガイドのない展示品のところ。

鑑賞者の皆さんが熱心に展示品についての説明書きを停まって
読んでいるから人の塊ができて動かないのです。

音声ガイドのあるところでは、イヤホンを付けている人は
動きながら展示物を見ることができるので
人波がいい方向に流れていました。

もちろん聴覚障害の方への配慮もありますので
説明書きをはずすのではなく、全展示品に音声ガイドと
解説パネルを付けて、そのパネルの位置を
展示品と同じ横並びの位置に掛けずに後ろに掛ける工夫をする。

これはフェルメール展(東京都美術館)で素晴らしいと感じた
アイデアですが、展示品を観ている人と説明を読んでいる人を
分けることによって、展示品がとても鑑賞しやすくなっているのです。

(判り易い例として1000円を1500円にと具体的数字を提示しましたが
価格はあくまでも目安です。)

私がここで言いたいのは、ある程度価格をアップすることで
本当に鑑賞したい人のみが来られるのではないかということ。
(新聞社が無料券を配布したり観光バスで団体さんが押し寄せたり、
これも価格が安いからこういう現象が起こるのではとも思います。)

そして価格をアップするだけでなく、音声ガイドをすべての展示品と
すべての来場者に付けることによって鑑賞しやすくするなるのではと。
このようなことを会場内の人込みの中で正倉院の宝物に魅入りながら
思ってました。


博物館や正倉院関係者や主催者の方々の目に見えない苦労や大変さを
想像し敬意を表しながらも、観光産業の前線に立つ者として
昨今の混雑ぶりがいずれ何らかの形で跳ね返ってくるのではないかと
少々危惧するところもあり、こういう思いついたことをここで提案してみました。

+++いつか、東京国立博物館の「法隆寺宝物館」のようなものが
「正倉院宝物館」として奈良の地に誕生すればいいなあと
博物館大好きな私は思うのです。+++
ブログ内記事「法隆寺宝物館で夢想したこと」に詳しく書いてます)

正倉院展を観終わって、博物館の外に出たあとは
10月いっぱいまで行われている「ライトアップ」を見ながら家路に。

同行の友人のご主人は、ライトアップを見るのが初めて。
私の一番お気に入りスポットをまずご案内。



相変わらず貸切状態でしたが、
友人達はこの建物の美しさに感動してくれたのでちょっと鼻高々に。

このライトアップも10月は17:00~21:00にと時間を前倒しすれば
いいのに・・・とか、せめて正倉院展会期終了日まであと10日延長
したらいいのに・・・とか、そんなことも思いながら、

でも奈良ってやっぱりいいところやなあ!大好き♪

小さなホテル奈良倶楽部

2008年10月26日日曜日

眼福*口福

小洒落たセンスに遊び心のあるデザイン
キュートな仕掛けが*ほんと可愛いわ~♪


     
          

お気に入りがいっぱいの正倉院展
見ているだけでも楽しい♪至福のひととき。

・・・・・・・

今日はオータムレイトで復刻版チケットもゲットしました。


   ↑
このデザインも可愛い!

オータムレイトの入場30分前から当日券売り場は行列ができ
着いた時にはちょっと引いてしまったけど20分ほど並んでチケット購入。
すごい人出のようでも会場の中は案外すいていて
どの展示品も余裕で鑑賞できました。
う~ん、やっぱり夕刻の方が空いているのかしら?

・・・・・・・・・

「人混みを緩和しながら鑑賞するにはどうすればいいか」
会場の人込みの中でグッドアイデアが閃いたのです!実は。

でもこれ書き出すと長くなるので、いずれ時間のある時にゆっくりと。

・・・・・・・・

そして本日の口福は 
 ひよどり荘での一日限りの韓国茶

もうひとつの口福至福は♪

     
          
だいどころ飛鳥さんのおにぎり*本当にもう美味しすぎるって!

+++ちょっと気が早いけど+++
二月堂のお水取りの頃のお客様に。
お松明を見に行かれる時間ってどうしても夕食の時間帯と重なって
この行事を取るか、おいしいご飯を取るか、悩むところですが

お松明へお出かけの前に、またお松明から帰って来てから
ちょっと小腹を膨らます(でも私の年代ならもう十分お腹いっぱい)
そんな時に飛鳥さんの美味しいおにぎりのお弁当があれば嬉しい!

うまくいい形で実現できますように☆

小さなホテル奈良倶楽部

2008年10月24日金曜日

いよいよ・・・

明日から始まります☆正倉院展




奈良倶楽部でも明日の朝一番の入場めざして、朝食無し素泊まりプランの
気合充分のお客様もいらっしゃって、遠足の前日のような楽しい賑わいを感じています。

先日の日記で今年の正倉院展では60回記念の年として、

閉館1時間半前に発売されるオータムレイトチケットの購入者の方に
昭和21年(1946)開催の 「正倉院特別展観」(第1回正倉院展のこと)
復刻版チケットが記念品として進呈される。
・・・というお知らせを致しました。

そして、閉館前というとちょっと慌しいかもしれませんが、
夕方には団体バスツアーの鑑賞者の方々も帰っていかれますので
人が少なくなるちょっと狙い目な時間帯。
・・というように夕方の時間帯をお奨めしましたが・・・

とにかく人の少ない時間帯を!とお考えでしたら、やっぱり
お昼時の方がいいかもしれませんね。。。

私も復刻版チケットが欲しいので(笑)
近々、人込みの中へ夕方出かけてみようと思ってます。
どれくらいの人込みなのか、またこちらでレポ致しますね。

それから、奈良倶楽部では「正倉院展プラン」として前売り券を
先に購入してチェックイン時にお客様にお渡しするプランがございます。

当日、入場券を買う時間を(これも並ばないといけない・・)少しでも
短縮したいというお客様に大変好評いただいているプランですが、

実は、正倉院展会期中でも前売り券を購入することができるのです。
近鉄奈良駅の特急券売り場とJR奈良駅のみどりの窓口です。

駅に着いて、博物館へ直行されるお客様は是非こちらでチケットを
購入してから向かってくださいませ。

 ご予約分、ご用意しています。

それにしても正倉院展・・毎年本当に人が多くてすごいですよね。

時あたかも同じ頃に、奈良中のあちこちで興味そそられる催しが
たくさん開催されていて、正倉院展だけのせいではなく
いろ~んなことが重なって、人口密度が一気にアップするのかな。

あまりの混雑だとかえって奈良の良さが伝わらずに興醒めしないかしら?
そんな心配をしつつも、いよいよ幕が開く。。。

ハイテンションになったりプレッシャーで押しつぶされそうになったり。
何年たっても同じような気持ちで前日を迎えてます。
でも幕があいたら、その忙しさをめちゃくちゃ楽しんでるのですが。。。

遠い将来、仕事をリタイアした時に、秋になったら忙しかったことを
懐かしく思い出すんだろうなあ・・・なんて想像しながら

平常心で、楽しんで頑張ろうっと☆


正倉院展に関する詳細は奈良国立博物館のサイトを参照して下さい。

読売新聞の正倉院展特集サイトも面白いです。

小さなホテル奈良倶楽部

2008年8月12日火曜日

早くも正倉院展の話題を・・・☆


               


夏の真っ盛りに気の早い話ですが、
先日、今年の正倉院展の会期日程が発表されましたね。

今年は10月25日(土)から11月10日(月)まで。

奈良観光のトップシーズンといえば、秋☆
そして秋といえば正倉院展☆☆

特に今年は60回記念の年にあたりますので、
どのようなものが出品されるのか今から楽しみです。

ところで出陳品とは別に、
今年はちょっとかわった記念品が用意されていますよ♪

それは、 オータムレイトチケットの購入者の方に
昭和21年(1946)開催の 「正倉院特別展観」(第1回正倉院展のこと)
復刻版チケットが記念品として進呈されるのです。

オータムレイトチケットとは、閉館の1時間30分前以降に販売する
当日券のこと。 博物館当日券売場でしか販売されていません。

通常大人料金が1000円のところ→オータムレイトでは700円に!
(前売り券では900円)
開館時間:9:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
      金・土・日・祝日は19:00まで開館。

閉館前というとちょっと慌しいかもしれませんが、
夕方には団体バスツアーの鑑賞者の方々も帰っていかれますので
人が少なくなるちょっと狙い目な時間帯、
今年は是非この復刻版チケットを手に入れようと思っています。
(でもきっと同じように考えている人も多いはず・・・返って混んじゃうかなあ)

正倉院展の詳しいことはこちらをご参照ください。

トップの写真は正倉院北側の塀のところ(7/30撮影)










2007年10月28日日曜日

やっぱり興奮!『正倉院展』

第59回『正倉院展』へ行ってきました。

毎年、この時期は、奈良倶楽部へお泊りのお客様も多く、
仕事で手いっぱいだと中々時間も取れずに、
観ることを諦めている年も多いのですが、今年は、
「特に絵画を表した宝物や文様表現の優れた宝物が多く出陳されている」らしく、
正倉院文様が大好きな私としては、
やっぱり見ておかなきゃ~!本物を~!!・・・ということで行ってきました!

そしてやっぱり素敵でした。
1250年以上も前の品々が、このような美しい状態で保存され残っているという事実にまず敬意を、
そしてこうして1250年もの間、脈々と次世代へ繋いでいくという意志や知性に、
日本人としての誇りを感じました。

やっぱり素晴らしいものは素晴らしいですね。

帰ってきてから、また図録を紐解いては
ほ~ほ~と、ため息まじりにうっとり魅入っております^^

図録から撮った写真ですが、私のお気に入りの展示物を少しここでアップいたします☆

まず、「羊木臈纈屏風(ひつじきろうけちのびょうぶ)」


天平文化の薫りがする羊さんの図柄ですが、
シルクロード伝来のものではなく、れっきとした日本製の屏風です。
木の幹にも2匹のお猿さんが描かれていて何だかちょっとユーモラス☆


また、これは「う」という管楽器ですが、
こちらの下部の壺の部分にも豪華な文様が表されています。
 

音声ガイドを借りると、この「う」の音色が聞けますよ♪

それから、こちらの図様もパンフに取り上げられていて、
一体どういう物に描かれていたのか興味深々でした。


実は「墨絵弾弓(すみえのだんきゅう)」という細長~い弓の弓身に描かれた図柄なんです!
これはすごいです!
いっぱい描かれていて、楽しくって面白くって、ちょっと感動しました☆

 


「金銀平脱皮箱(きんぎんへいだつのかわばこ)」です。


 拡大図

中心の鳳凰文様のまわりの番いの鳥が、
二羽で一つの花枝を仲良くくわえていて、いい感じです。

 そのほかには、古裂残欠が多数出品されていました。
布に染められたり、織られたりした図柄が、どれもどれもかわいくて素敵で、
改めて正倉院文様の素晴らしさを認識しました。


最後に、今回の正倉院展での目玉展示物のひとつ、
パンフレットや図録の表紙にもなっている「紫檀金鈿柄香炉(したんきんでんのえごうろ)」。

これだけは是非見ておきたい!と楽しみに鑑賞しました。
写真で見た印象以上に小さく小ぶりでしたが、
紫檀や金や水晶を使った贅を凝らした細工の美しさに惚れ惚れ、
やっぱりすごいな~とため息まじりに観ておりました。





紫檀金鈿柄香炉の炉の脚の部分拡大写真です。
振り向いた姿の小さな獅子が何ともいえないくらいキュート!


すべて、図録から写真を撮ったので見にくい点はご容赦くださいね^^

『正倉院展』のくわしいご案内はこちらから。

今日のお昼過ぎで待ち時間、10~15分でした。
午前中開館と同時に行かれたお客様は、待ち時間30分とおっしゃってました。
全般的には、夕方3~4時ころの、団体さんが帰られた後がぐんと空くみたいです。
また、オータムレイトといって、閉館の1時間30分前以降に販売する当日券があります。
(販売は博物館当日券売場のみ)
1000円が700円になり、こちらはかなりお得です。
今日の人込み具合でささ~っと見て1時間~1時間半くらいでしたので、
これを利用しても十分鑑賞できそうに思いました。
また、館内も結構な人出のように感じましたが、
展示物に向き合ったら、そのような雑踏を忘れさせてくれるくらい、
至福の時間を過ごすことができました。(幸せ~♪)

小さなホテル奈良倶楽部