2007年9月21日金曜日

ヨーク・シュマイサー版画作品展「奈良拾遣」

←奈良倶楽部の壁面に飾っています
シュマイサーさんの散華

←拡大した写真です。

ジャンルを問わず、美術作品を見るのが大好きな私にとって、
今一番気になる作家の一人 ヨーク・シュマイサーさん。

油絵を描くことが趣味の私は、作品を見るときに自分なりの基準がありまして・・・(笑)

・自分自身の描く行為(まだ創作活動と堂々と言えません^^)に刺激を受ける。参考になる。
・奈良倶楽部の空間にその作品を飾ってみたい。買ってみたい。
・一級の作品に触れて豊かに満ちた心を味わう。

以前からシュマイサーさんの版画作品に興味があって、欲しいな~と思っていたところに、
奈良での作品展のお知らせが。

奈良町にあるギャラリー「たちばな」というお店です。

2階にギャラリー、1階が茶愉処です。
1階には和陶磁器の作品も展示されていて、奈良町という土地柄「和風を楽しむ」をテーマに和菓子のメニューも充実しています。

時間がなくていただけなかったのですが本当に美味しそうでした!

2階のギャラリースペースは、ギャラリー専門の建築家の方と相談して設計されただけあって、小粒ながらもいい展示ができそうなスペースです。
若い人たちもグループ展などで創作活動の発表の場として使っていただきたいということでした。



ところで、欲しいな~という欲望もちょっと手が出ませぬ・・・今回は見て楽しむだけの作品展でした^^

ヨーク・シュマイサーさんは、
1942 ポメルン(現ポーランド)生
1962年~1970年代にかけてハンブルグ(独)および京都で学ぶ。USA、中国、オーストラリア、などで客員講師、専任教授などを勤める。
2002年より京都芸術大学美術部教授という経歴の方。

東大寺、法隆寺、春日大社など古都奈良の風景に、
寺院建築の「釘隠し」や「垂木」などふだん目に留めない小さなものや、
また装飾品の中の一部分などを拡大解釈したものなど、
作家独自の視点で描いた版画作品です。


◇ヨーク・シュマイサー版画作品展「奈良拾遣」

2007年9月6日~10月16日(水曜日定休)
10:00~18:00
ギャラリーたちばな tel:0742-31-6439

小さなホテル奈良倶楽部

2007年9月20日木曜日

『美麗―院政期の絵画―』 奈良国立博物館


奈良国立博物館で開催中の展覧会『美麗―院政期の絵画―』 

会期があと10日というところでのお知らせですが、何はともあれ行って見て下さい!

とにかく素晴らしい展覧会でした。

会場に入って一点一点鑑賞しながら、最初に私がさがしてしまうところが <国宝>という二文字。
私、決してブランド好きではないのですが、なぜだか<国宝><重文>ブランドにはちょっと弱いのです^^

総点数は展示換え作品も含めて125点。そのうち国宝48点、重要文化財58点!という圧倒的な数の多さに驚きながらも、素晴らしい展示品の数々に大満足、堪能の2時間でした。


・・・・・平安時代後期から鎌倉時代初期、上皇・法皇が政治の実権を握っていた院政期の時代に描かれた絵画は仏教思想を基調としつつ院の美意識とも関わり、日本の絵画史上の中で最も美しい作品群が残された時期でもあります。
展覧会では、この時期の優れた仏画や絵巻物、白描図像などの絵画を中心に、絵画的な表現を含む書跡、彫刻、工芸なども加えて、豊かな内容に満たされた華麗な美の世界を見ようとしています。・・・・(パンフより抜粋)

とても大きい構図の力強い仏画もあるのですが、何より印象に残っているのは、美しいということ。
色彩がとても豊かで、そして、線描の美しさや描写が細やかで精緻であることに目が引かれました。

仏さまの装身具など細やかな描写で見る者の心を捕らえてしまうくらいのものもあれば、絵巻物の中で「病草紙」や「餓鬼草紙」「地獄草紙」などのように、社会の暗部をかなりリアルに描いた作品も。

絵巻物では「伴大納言絵巻」や「信貴山縁起絵巻」などの有名どころもあって、

私のように専門的な知識がなくても十分楽しめる展覧会でした。

お経を書いた料紙に金銀砂子を散りばめたり、古今和歌集の和様の書の流麗さもさることながら、透かし模様が入った装飾の細やかさなど、平安人の美意識の高さに感嘆・脱帽です。

個人的には、少ししか出品されていませんが、工芸品(特に「沢千鳥螺鈿蒔絵小唐櫃」国宝)に今も心を奪われたままです。

会期が残り僅かしかなく、もう一度ゆっくり見る機会を取れるかどうかはわかりませんが、とにかく美術工芸に興味がある方には是非行って見てほしいお宝満載の展覧会でした。

それにしてもこんな機会 めったにないものばかり・・・もうちょっと長い会期であればいいのにと思わずにはいられませんでした。

◇『美麗―院政期の絵画―』 
 
奈良国立博物館 http://www.narahaku.go.jp/exhib/2007toku/insei/insei-1.htm
9/1~9/30(休館日9/25)
9:30~17:00(金曜日は19:00まで)
観覧料金:大人1000円、高・大生700円、中学生以下無料
     (9/22にご夫婦で観覧される方は一般料金1000円の半額になります。)
公開講座:9/29「院政期の料紙装飾と文字の荘厳」13:30開演、先着200名。

小さなホテル奈良倶楽部


 

五風舎にて 守田蔵展


守田蔵 MORITA KURA  

浄瑠璃寺の辺に陶房を構え、楽茶碗・信楽に注力している陶芸家。
白洲正子さんは守田蔵の作品の風趣を大いに翫賞し、今も守田さんの作品(骨壺)の中で眠っておられます。
その白洲さんが「貴重な陶工」と評した独自の美意識と古美術に対する鋭い洞察から生まれた茶碗や信楽の数々。


当尾の里からバスで奈良に戻り、その足で東大寺戒壇院のそばにあるギャラリー「五風舎」さんへ、守田さんの個展を見におじゃましました。

会場の五風舎は、依水園から戒壇院へ続く界隈、水門町にあって、
古い日本家屋をギャラリーにされた、とても落ち着いた空間です。




会場で守田さんの茶碗でいただいたお抹茶の美味しかったこと!

◇守田蔵展

2007年9月19日~24日 11:00~18:00
五風舎(0742-22-5514)

小さなホテル奈良倶楽部

当尾の里を歩く~その3 浄瑠璃寺

まずは山門へ続くこの参道・・・



山門をくぐる前から、この小径の風情にすっかり心うばわれてしまった人も多いのでは・・・?

今の季節、萩の花が咲き始めていました。



またヨメナや水引草、そして名も知らぬ野の花たち・・・

 


ここのお寺は、中央に宝池、東岸が現世の「此岸」で薬師仏(重文)をまつる三重塔(国宝)、対岸の西岸が来世の「彼岸」で九体阿弥陀如来像(国宝)をまつる阿弥陀堂(国宝)・・・と極楽浄土伽藍を表現する浄土式庭園(特別名勝及史跡)なのですが、




そんなお寺の境内のあちらこちらにも野の花が咲いていて・・・
そしてノラちゃんものんびり寛いでいます。

創建当時の平安時代のままの面影を残している古寺でありながら、さり気ない素朴な佇まいの浄瑠璃寺。
朱塗りの三重塔も阿弥陀堂も、木立の中に見え隠れしながらまわりの緑豊かな自然の中に溶け込んで素晴らしいお寺です。



◇浄瑠璃寺

拝観時間:3月~11月 9:00~17:00
     12月~2月 10:00~16:00
拝観料: 300円
tel : 0774-76-2390

秘仏公開 ・吉祥天女像 毎年1/1~1/15、3/21~5/20、10/1~11/30
     ・薬師如来像 毎月8日、お正月の三ケ日、春秋彼岸の中日(好天の時のみ)

博物館へ出ている仏像 ・馬頭観音像(重文) たまたまこの9月一ヶ月間だけお里帰り中でした。
           ・四天王像(国宝)のうち、多聞天、広目天が国立博物館へ。

◇浄瑠璃寺から帰りのバスの時刻表・・・この道程で歩いてみると、ちょうどお昼頃に浄瑠璃寺に到着しましたので、お昼前後の時間帯のみ記しておきます。

JR奈良駅・近鉄奈良駅行きは、13:11、15:10 (奈良まで約25分。570円でした。)
JR加茂行きは、12:06、14:06です。

そして今日のお楽しみは、そば処「吉祥庵」。

こちらのご主人、守田蔵さんは晩年の白洲正子さんと交流のあった信楽の陶芸家。
以前に知人の個展で奈良倶楽部にお越しいただいたこともあり、一度お邪魔したいと楽しみに伺ったのですが・・・


あらあらお休み・・・ん?個展の会場は奈良倶楽部のご近所「五風舎」さん!
それでは早速奈良に戻って行ってみましょう。   ・・・・続く

◇吉祥庵
営業時間:11:00~17:00
お休み:不定休
tel: 0774-76-4007

小さなホテル奈良倶楽部








 

当尾の里を歩く~その2 石仏の道を歩く

岩船寺から浄瑠璃寺までの石仏の道

順路としてはこの方が下りになっていますのでお薦めです。
およそ1時間前後で浄瑠璃寺に到着です。

道中の主な石仏をご紹介しますね。

 不動明王石仏

等身大で力強い感じの石仏です。でもよく見るとちょっとユニークな面持ち。藪の中に佇んでいます。

 急な坂道にも手すりがついています。

 笑い仏

当尾の里の石仏群の中でもスター級の仏さま。永仁7(1299)年の銘があるから700年間微笑み続けていらっしゃるのですね。



道中、田んぼの稲も色づき始めてまもなく収穫の季節です。



彼岸花もあちこち田んぼの畦に咲いていて秋の到来を感じます。

  からすの壷二尊
「阿弥陀如来」と「地蔵菩薩」の二面が彫られています。
 左側面地蔵菩薩像  正面阿弥陀如来像

 からすの壺

あぜ道を抜けて車道に出てもうしばらく歩きますと、脇の竹藪の中から、西向きの岩に阿弥陀如来像が。
横の岩には地蔵菩薩像(左)と十一面観音像(右)が彫られた、藪の中地蔵三尊が現れます。これも鎌倉中期の作。



藪の中地蔵三尊のそばの農家の軒先には、自家用野菜や手製の加工品の特設スタンドが。
ほとんどの小袋が1個100円と安くて新鮮!



ここまで来れば、浄瑠璃寺はもう目の前です。

それにしても、なぜ当尾の里にはこんなに石仏が多いのでしょう・・・。

畦道の脇や藪の茂みの中、野ざらしの石仏たちの豊かな表情を見て古の里人たちの素朴な信仰心に想いを馳せ、この風景に心洗われるようなひとときでした。・・・・続く

◇岩船寺

拝観時間:3月~11月 8:30~17:00
     12月~2月 9:00~16:00
拝観料:300円
tel : 0774-76-3390

小さなホテル奈良倶楽部












 

当尾の里を歩く~その1 岩船寺へ

これから秋のシーズン、当尾(とうの)の里の石仏めぐりは、
歩くこと大好きなお客様が多い奈良倶楽部でも、かなりの人気コースです。

何度も訪れた浄瑠璃寺や岩船寺ですが、石仏の道はもう十数年ぶりなので、
一度しっかり歩いてみようと、好天の昨日一人でバスに乗ってハイキングに出発しました。

奈良倶楽部最寄のバス停「今在家」9:34am発「下狭川」行きに乗り、約20分、「岩船寺口」で降ります。
(途中「浄瑠璃寺南口」というバス停がありますが、まだその先4つ目です。バス代490円。)

バス停そばのアスファルトの登り坂を10分ほど歩くと、道が二股に分かれています。
左側の細い道に入り、標識に沿って十数分程歩くとほどなく岩船寺に到着です。

 岩船寺山門

岩船寺は聖武天皇の勅願で建立されたという由緒あるお寺なんですが、
のどかでさり気ない佇まいの境内に入ると、ほ~っと気持ちがゆっくり和みます。

 三重塔と十三重石塔

 本堂

ご本尊の阿弥陀如来像は平安時代、四天王立像は鎌倉時代のものです。
お寺も本堂も全体として鄙の寺という印象ですが、こじんまりした中にも歴史と風格が感じられるいいお寺です。

お寺の前には美味しそうな草もちやかきもちのお店もあって、ちょっと小腹を満たして^^

では石仏の道へ・・・・続く

小さなホテル奈良倶楽部

2007年9月18日火曜日

東大寺二月堂 十七夜盆踊り



毎年9月17日の夜、東大寺二月堂下の広場にて河内音頭・江州音頭による「十七夜盆踊り」が開催されます。

二月堂の「十七夜盆踊り」は平成5年に復興されたもので、今年で15回目。

奈良ではこの「十七夜盆踊り」が「盆踊りの踊り納め」であったといわれます。




二月堂で盆踊りって、ちょっと意外な気がしませんか?

お水取りの厳かな雰囲気に包まれた二月堂とはまた違った、ちょっとはじけた二月堂。

今宵9月の17夜
老若男女みな輪になって 河内音頭に江州音頭
色鮮やかに見るのも楽しい盆踊り

でもでもやっぱり踊るしかない!



見ているだけでもはじけてしまいそうな活気に満ちた盆踊り

今年こそあの輪の中に入りたい、入ろう!と思いつつ、
あまりの上手さに中々踏み出せなくて・・・

でもでも今年は思い切って
踊ってきました!盆踊り♪

とってもとっても楽しかったです♪♪



二月堂 懐深いからやっぱり大好き!

小さなホテル奈良倶楽部

2007年9月15日土曜日

奈良少年刑務所見学ツアー

奈良倶楽部から歩いて15分くらいのところに、明治時代に建てられた赤煉瓦の立派な建物があります。



奈良少年刑務所+++

コスモスで有名な般若寺のすぐ近くにあり、般若寺までお散歩にお出かけのお客様に、こちらも是非ご覧になって下さいとお薦めしているのですが・・・

お客様「えっ?刑務所・・・ですか?」
やっぱりちょっと引きますか(^^;)

でも明治41年建造のままの威風堂々たる雄姿を目の当たりにすると、やっぱり「すごいな~!」と感動してしまいます。

普段は塀の外側からしか見ることのできない少年刑務所の中に一年に一度、入ることができます。

「奈良矯正展」

全国の刑務所で生産した家具や小物、食料品などが販売されます。
丁寧な手仕事の製品は人気が高く、毎年この矯正展を楽しみにしている人も多いのです。
明治時代に建造された赤煉瓦の建物も見ごたえがあり、
また所内の見学ツアーも企画され、 当日の申し込みにより中を案内してもらえます。

というわけで、行ってきました。



正面の門を入ったところ。なんだか異国情緒があってちょっとノスタルジックな雰囲気です。
ジャズピアニストの山下洋輔さんの祖父、山下啓次郎氏が設計されたものです。

 塀の内側から。高さ5mはあります。

塀の内側には監視人が入るこんなスペースも。      

 
模擬店の様子です。


見学ツアーは午後から受付で先着20名ずつ1グループで20分毎にツアーがあります。(ツアー所要時間も約20分)

主に、受刑者の作業場を見学して回ります。

所内の各建物はほとんど明治時代に建造されたもので、それを屋根付きの渡り廊下で結んでいるのですが、中庭の花壇の風景も含めて、昔の小学校を思わせるようなどこか懐かしい風景でした。(写真撮影禁止のため、ツアー見学中の画像はありません)

印象的だったのは、作業場には冷暖房設備がないこと。これは厳しい環境にも耐える忍耐力を養うためらしいですが、実際かなり厳しい環境だと思いました。

またきちんと整理整頓されていて掃除がいきとどいているのにも感心しましたが、中庭など外のどこを歩いても草一つ生えてないという徹底さには感心を通り越して驚きでした。

週40時間に及ぶ作業(職業訓練)はここでの懲役刑のひとつとして義務づけられているものですが、この訓練を通して出所後の社会復帰も目指しています。

ちなみにここの理容科の人たちの合格率は100%らしいです。(一般的には60%らしいですが)
木材工芸科・ソフトウエァ管理科・そして時代を反映して介護・看護科もあるそうです。

木材工芸科で作られた家具がたくさん展示販売されていましたが、けっこうお洒落なデザインのものもあって、またびっくりするくらいお安いお値段なので、かなりの人気商品のようでした。

刑務官の方々の熱心な姿や受刑者たちの真摯な作品に触れ、刑務所に関する今までの先入観が一掃された見学ツアーでした。

 延々と続く塀。

100年以上も昔の風格漂う赤煉瓦。


  塀の外には白い百日紅の花が綺麗に咲いていました。

奈良矯正展:毎年9月上旬の土・日曜日に開催されます。
問い合わせ:0742-22-4961(奈良少年刑務所)


小さなホテル奈良倶楽部

2007年9月7日金曜日

ひよどりが巣立っていきました♪~その5 まだまだ練習中~

 

裏の大きなナンキンハゼの枝を根城にここ数日、親鳥について大空を飛ぶ練習中のヒナちゃん達。

なんだかんだといっても3羽仲良く並んでます。

時々親鳥がエサを運びます。
時々親鳥について行って、少しだけ飛んだりしてます。

そして今日、巣立ちして7日目の雛鳥たちがまた3羽仲良くこの枝にとまっているのを発見!

 

2階の客室の窓からちょうど見える位置にとまっています!
早速・・・




ズームでも撮ってみました^^

その後しばらくして、元気に大空へ羽ばたいていきました。

夏の終わりのある日々の出来事・・・ヒヨドリ一家の巣立ちのようすでした☆

小さなホテル奈良倶楽部