2009年2月28日土曜日

修二会こぼれ話25~大中臣祓~

さて、28日の夕刻には「大中臣祓(おおなかとみのはらえ)」という
清めの儀式が二月堂下、参籠宿所前で行われます。

作法を行うのは密教的な作法を司る「咒師(しゅし)」で、
今年は橋村公英・教学執事が務められます。


18:00頃まず「お祓(はら)いにござろう、お祓いにござろう」という声が
参籠宿所から響き、宿所から出てこられた練行衆は細殿(登廊入り口)へ。

ここで咒師にお祓いしてもらうのを、身を屈めて待っておられます。


松明の火に照らされる咒師の橋村公英師。

練行衆が並んでかがむと、松明の火を前に作法を始め、
祓詞を黙読されます。とても静かで厳かな感じでした。


     

御幣を振り、祓い清めの儀式を行うのですが
咒師はこの時左肩に掛けていた袈裟を外します。
僧から神職に変わるという意味があるそうです。

お祓いの言葉を暗誦されているところ。 その場は何ともいえない静謐な場となり
同じ場所にいる人達 皆さん同じ想いを共有していると思いました。


御幣を大きく振って場を祓い清めます。

     
          
細殿で待つ練行衆にもお祓いをします。
               

その後、二月堂にも結界が張られました。

練行衆の参籠宿所はこんな様子です。

「大中臣祓」は別名「天狗寄せ」ともいうそうで
春を待ちかねて天狗が集まって嵐を呼び、修二会の邪魔をしたことから
天狗を呼び寄せてお祓いしたという伝説があります。

15分くらいの短かい時間でしたが
神仏習合をうかがわせる神秘的な儀式で
この場に居合わせた自分までもが清められたような
とても厳かな清々しい気持ちをいただきました。

小さなホテル奈良倶楽部

修二会こぼれ話24~練行衆別火坊出発~

明日からいよいよ修二会本行が二月堂で始まります。
2月28日 戒壇院別火坊での前行を終え
練行衆の方々は二月堂下の参籠宿所へと移られます。

今日も”追っかけ'S”相方のしをんさんと楽しくご一緒です。
午後2時半頃、別火坊ではたくさんの”追っかけ”さん達が集まってらっしゃいました。この中には写真家のテラオさんの姿も。
テラオさんには、ここで2,3枚写したらすぐココへ移動して次はココで撮る
・・・等など手際のいいポイントを教えていただきました。
さすがお水取りのオッカケ歴31年というベテランだけあります。

練行衆出発までの待っている間、
童子さん達の軽トラには練行衆の持ち物が次々と乗せられ
二月堂まで運ばれていきます。
 葛や
差懸(さしかけ)
それぞれの方の家紋が入っているのですね。

     
          
差懸は、本行中に練行衆が使用する特別の履物で
総別火で作られるものです。

芭蕉の『水取りや 籠もりの僧の 沓の音』でもよく知られていますが
お松明で足元を照らされて二月堂に上堂した練行衆(籠もりの僧)が
床をだだだっと激しく踏み鳴らす沓音(くつおと)はこの差懸を踏む音。
二月堂の下でお松明を見学していても聞こえてきます。


さあ、そうこうしているうちに、いよいよ別火坊出発です。

別火坊から北の階段を下りて

     
大仏殿の裏を通って二月堂裏参道へ。

     
          
二月堂裏参道では練行衆の方々を合掌しながらお見送り。

 二月堂到着。
参籠宿所前では、別当はじめ長老方や参籠経験のある
「娑婆古練(しゃばこれん)」が出迎えます。

湯屋の入り口が開いていたので中を撮らせていただきました。
練行衆が参籠宿所に入られたので
これから忙しくも活気に満ちたところとなるのですね。

     

午後3時半”追っかけ'S”は一旦解散して夕方また集合することに。
天狗寄せ(大中臣祓)の様子は次に続く・・・。

小さなホテル奈良倶楽部

2009年2月26日木曜日

「トラットリア ピアノ」で気軽にイタリアン

「お水取り」のお松明を見学した後でもゆっくり
お食事できるところはありますか?

「商店街あたりのお店は8時には閉まっている」とか
「奈良の夜は早い」のでは?

お客様からよく質問されます。

先日の「竹の館」に続いて、
では、今回も夜遅くまで開いているお店をご紹介します。


イタリアンレストラン「トラットリアピアノ」 さんです。

先日、夜8時半頃から遅いめのディナーをいただいたのですが
夜遅くまで開いているのでゆっくりとお食事を楽しむことができます。


お店は近鉄奈良駅から歩いてすぐのところ。
東向商店街の奥にあります。 


この日は魚介類がメインのコースをいただきました。

前菜盛り合わせ 
店内の石窯で焼き上げる窯焼きピッツア 
ピザ皿は奈良絵の赤膚焼♪ 
お魚はメジナのソテー 
本日のドルチェ 
そしてアフタードリンクがついて3800円です。
二人で分けても十分な量のようなのでこれを一つオーダーして
追加でペンネと 
パスタをオーダー。
どれもこれも美味しくてボリュームも十分。

鹿のフォークレストが奈良らしい♪

店内の写真を撮り忘れたのですが、店名どおり、ピアノをモチーフに
デザインされたインテリアがとても洒落ていました。

魚介類はすべて土佐清水直送。旬の素材を生かした本格イタリアンですが
とても気軽に手頃なお値段でカジュアルに愉めるお店でした。
そしてお店の方達がとても感じいいのです。
すっかりお気に入りになってしまいましたよ。

「トラットリア ピアノ TRATTORIA piano」

住所:奈良市橋本町15-1
Tel:0742-26-1837
営業時間:9:00〜24:00(LO 23:00) Dinner/17:00〜


小さなホテル奈良倶楽部

2009年2月25日水曜日

東京へ♪

少しだけ仕事モードで東京へ行ってきました。

でも、せっかくの東京ですから。やっぱり行かなくっちゃ!
ということで、月曜日には国立新美術館で開催中の「加山又造」展へ。
翌日は朝早くから千葉県佐倉市にある川村記念美術館で開催中の
マーク・ロスコ 瞑想する絵画」展へ、ひょっとしてこちらが東京行きの
ホントの目的?と 思われそうですが・・・実はそうかもです(笑)


     
          

どちらも素晴らしい展覧会でした。
感想を書き出すと止まらなくて暴走しそうなので(笑)
文章はいずれあらためてアップしますね。




::


夜は、駒込に住む息子のところへ泊めてもらう。
この下宿は娘の代からなので、一年に2度ほど上京している私は
かれこれもう7年も駒込の街と付き合ってきたのだ。
住めば都というけれど、本当にそう。
息子は、この3月で卒業して会社の寮住まいになるので
私とこの街との関係も、これっきりになるのかなと思うと
ちょっとだけしんみり。
いつも行くビストロがお休みだったので巣鴨のお寿司やさんへ。
会社帰りの娘も合流して親子3人水入らずで
何てことない会話で盛り上がり。
二人とも18で家を出て早かったな。あっという間の6年7年やったな。
そんな会話の中で「一緒に暮らしてないから早く感じるんやって」
と息子が言う。そうやね、思い出が希薄やもんね。
子供たちの苦労している姿も何も知らないものね。
10代から20代へ、一番美しい時を一緒に過ごしてないのは
ちょっと勿体なかったかな?それなら、せっかく上京したのだったら、
もっとゆっくり過ごしていけばいいのに
翌日は美術館のある佐倉までのアクセスを急いで早朝に出発の私。

でもまあ、こうしてたまにしか会わないから
いいとこばかり目について幸せな親でいられるのかもね。

修士論文をりっぱな本に仕立て、贈呈してくれた。
巻末の謝辞には両親への感謝の言葉が。
これで十分かな。ありがとう。

東京行きの一番の目的は久しぶりの母をやってみることだったのだ。
(卒業式も引越しも入社式も行けないからね。)

・・・・以上つぶやきでした。。。





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2009年2月24日火曜日

3月のお出かけ情報


季節はめぐりて春です♪
お水取りの追っかけを楽しんでいて
「3月のお出かけ情報」のアップを忘れるところでした。

気候もおだやかになってまいりますので
3月になると「秘宝秘仏公開」が多くなります。

ざっと流してみましても・・・

◇3/1~3/15 帯解寺「秘仏特別公開」
       春日赤童子や虚空蔵菩薩など
       問合せ:0742-61-3861

◇3/1~3/31 大安寺「馬頭観音立像特別公開」
       問合せ:0742-61-6312

◇3/1~3/31 不退寺「春季特別公開」
       在原業平画像、伊勢物語、古今和歌集、こけら経、
       元多宝塔二重塔に使用した心柱などが公開される。
       問合せ:0742-22-5278

◇3/1~6/15 薬師寺「玄奘三蔵院伽藍・大唐西域壁画公開」
       問合せ:0742-33-6001

◇3/2    慈眼寺「聖観世音菩薩特別公開」
       問合せ:0742-26-2936

◇3/12    伝香寺「地蔵菩薩像特別公開」
       問合せ:0742-22-1120

◇3/30~4/7 法華寺「国宝十一面観音立像特別開扉」
       慈光殿も合わせて特別公開されます。
       問合せ:0742-33-2261

◇3/20~6/30 法隆寺「秘宝展」
       問合せ:0745-75-2555

◇3/21~5/20 浄瑠璃寺「秘仏吉祥天女像特別公開」
       問合せ:0774-76-2390

◇3/23~4/7 海龍王寺「十一面観音開帳」
       問合せ:0742-33-5765

◇3/28~4/5 薬師寺「大宝蔵殿特別開扉」

 
では、次に・・・「神社仏閣の伝統行事」


◇3/1~3/14 東大寺二月堂「修二会(お水取り)」

◇3/1~3/18 法華寺「古代ひな人形展」
       歴代天皇より賜った御所人形など約100点が展示されます。

◇3/5 10:00~ 興福寺「三蔵会」

◇3/8 10:00~正午 宝山寺「般若窟柴燈大護摩供」
           問合せ:0743-73-2006

◇3/9 14:00~15:30 正暦寺「人形供養」
            問合せ:0742-62-9569

◇3/13 9:00~ 春日大社「春日祭(申祭)」
         王朝絵巻さながらの春日大社の例祭です。
         参道からのみ拝観可能。
         問合せ:0742-22-7788

◇3/15 11:00~ 春日大社「御田植祭」

◇3/20 菅原天満宮「筆まつり」
    問合せ:0742-45-3567

◇3/22~3/24 法隆寺「お会式」
        聖徳太子の遺徳を讃えて行う法要。
        聖霊院では本尊聖徳太子摂政像が開扉。

◇3/25・3/26 9:00~17:00 安部文殊院「文殊お会式」
       問合せ:0744-43-0002

◇3/28 13:00~ 薬師寺金堂「お身ぬぐい」

◇3/28~4/5 薬師寺金堂「修二会 花会式」
       今年は日光・月光両菩薩像もいらっしゃいますね。


「イベント情報」


◇3/1~3/31 10:00~16:00 高取町土佐街なみ「町家の雛めぐり」
       今年で第3回目を迎えた雛めぐり。
       約80軒のお雛様を町並みのあちこちに展示。
       今年こそ是非行ってみたいと思ってます。

◇~3/15 毎日10:00~15分間 「鹿寄せ」飛火野にて

◇3/20~6/21 9:00~17:00 若草山 春の開山

◇3/20 若草山山開き記念「第17回鹿せんべいとばし大会」
     参加費300円、先着1000名。雨天の場合は3/22に延期。
     問合せ:0742-22-3626

リンク先や行事の詳しい説明などはまた後日追記します+++

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2009年2月22日日曜日

修二会こぼれ話23~一徳火~



修二会に魅せられて何十年も写真を撮り続けているテラオさんが
「これ、お客様に見せたげて」と一般の人が撮れないようなところの
写真を何枚かファイルにして持ってきて下さった。

その中の一枚が「一徳火」
3月1日の深夜2時、今まで使っていた火はすべて消し、
堂童子によって火打石で浄火を灯す。この新たな火がお松明の火種となり
これを一年間大切に使っていく。

カチリカチリと響く火打石をはじく打ち金の音。
漆黒の内陣に最初の燈明の火が灯される瞬間。

テラオさんはこの「一徳火」が灯された一瞬の
何ともいえない荘厳な場に立ち会うのが一番身が引き締まるとおっしゃる。

1日の0:00頃から二月堂にいるからおいでと誘われたけれど・・・。
はてさて、私にそれほどの覚悟があるのか否か・・・。

※トップの画像はテラオさんの写真をさらに私がデジカメで写したもので
非常に画像が悪いですが、奈良倶楽部でお預かりしている写真ファイルは
どれも素晴らしいです。ファイルはフロントでお預かりしてますので
閲覧ご希望のお客様はお申し出くださいませ。

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2009年2月21日土曜日

修二会こぼれ話22~注連撒き~

お水取りについての日記、昨年は一生懸命書いたので
今年は少しトーンダウンしようかな・・・と思ってましたが。

この季節がくるとワクワク♪ルンルン♪心が勝手に踊りだすものね。
私と同じような気持ちの方もいらっしゃって(笑)
今日は二人で「社参」と「試みの湯」そして「注連撒き」の追っかけです。

「社参」と「試みの湯」については昨年の記事
写真もたくさんアップしていますのでそちらをご覧ください。

又この日ご一緒して下さった”追っかけー'S”相方、しをんさんの 日記
「社参」  と「注連撒き」には大変きれいな写真と詳しい解説が載って
いますので合わせてご覧ください。

+++

練行衆を補佐する堂童子によって、
二月堂鎮守の遠敷(おにゅう)社、飯道(いいみち)社で
注連縄を清め、待ち受けていた童子らに向けて撒く 「注連撒き」。

童子が受けた注連は練行衆や童子の自宅前にかけられ、
参籠する人の家までもが清浄な場にかわります。


では、二人で楽しく追っかけをした注連縄撒きレポをどうぞ++

「試みの湯」の後 堂童子さんが注連縄を持って登廊を上がってこられます。

   
まず遠敷社でお清めして 
←下で待つ童子さん達に
威勢良く石段の上から撒かれます。
争って受け取る童子さん達。

    
        

次に、飯道社での注連撒きの様子です。
こちらでも堂童子さんによって注連縄を清めます。

   
      
          
            

石段の上から、堂童子によって、結界に用いる注連縄が撒かれると
下で待つ童子達が地面に落とさないように受け取ります。

この時、地面に落ちた注連縄は「塵」と称して使用しないそうですが
どなたも、地面に落とすようなことはなかったです。ナイスキャッチ☆

帰り際、裏参道では早速 注連縄が張られていました。
二月堂はこれで結界が張られ清浄な場となるのです。
 
    
中性院にも注連縄が 
 中性院の枝垂れ梅
今がちょうど満開☆


小さなホテル奈良倶楽部