2010年4月22日木曜日

奈良国立博物館「平城遷都1300年記念 大遣唐使展」



毎月22日の『夫婦の日』割引きを利用して、本日は二度目の鑑賞です。
初日に観たときは、イヤホンガイドを借りキャプションを読み
説明内容を反芻しながら必死で鑑賞しましたので、随分と時間もかかったし
集中力も途中で切れそうなくらい、展示内容の充実度についていくのがやっとでした。

二度目の今日は、買っていた展覧会図録であらかじめ予習もして
気になっていたものを、もう一度詳しくじっくり鑑賞したり
展示室全体から、お気に入りだけを贅沢に観ていったり。
また私の苦手な「書」については、事前に、
書に造詣の深いこの方に見どころを尋ねておきましたので、少々理解もできて満足満足。
素晴らしい展示品の数々を集中力を切らすことなく十分堪能することができました。

それにしても、本当に「よくこれだけのものを集めてくださった」ことと思います。
遣唐使の先駆けである遣隋使が派遣された607年から遣唐使停止の894年までの約300年間に渡る
日中両国を舞台にしたダイナミックな交流〜人、仏教、文化、学問、技術や制度〜を
展示品の数々で紹介し、遣唐使の果たした役割や、日本という国が大きく成長していった軌跡、
その時代の空気感や、奈良がその時代どれほど国際色豊かなスケールの大きい都市であったかなど
この展覧会を通してよくわかります。

8世紀に日本で作られた薬師寺の「聖観音菩薩立像」と同時代に唐で作られた「観音菩薩立像」
両像並んで展示されているのを観られただけでも大感激だったのですが

 
水墨の濃淡のみで、躍動感溢れる馬の姿が見事に美しく描かれた『照夜白図』や
正倉院宝物「鳥毛立女屏風」を連想させられる『仕女調鳥図』などの唐の絵画も素晴らしいし。

小さな携帯用の小仏龕
『諸尊仏龕 』も固い白檀によくこれ程の細かい細工ができたものと、溜息ばかり。

『吉備大臣入唐絵巻 』や『天寿国繡帳 』『五重宝函(舎利容器)』もはずせないし・・と
一回目に観た時は、とにかく王道を中心に観ていったのでしたが

鑑賞に慣れた二度目は、前回ゆっくり観なかったものをよく観てみようと・・・。
そうしたら、案外面白いものですね。
『小野毛人墓誌 』や『船王後墓誌 』など銅製の墓誌に残る、あんまり上手とは思えない字に興味がいったり。

誕生仏のような小さな愛らしい仏さまが、私はどちらかというと好きなのですが
意外な誕生仏も見つけました。
愛知県の正眼寺の『誕生釈迦仏立像 』
我が国で制作されたものの中で最古の作品だそうで、何ともキュートですよね。

小さな仏像が好みといえば、こういうものもありました。
『釈迦如来坐像・多宝如来坐像 』
東大寺戒壇院の創建当時に本尊として制作されたもののようです。
小さいながらも何故かぴりっと惹かれるものがあるのです。

また、本館会場には、正倉院宝物と関わりの深い品々を集めたコーナーがあり
遣唐使が持ち帰った将来品と、正倉院宝物(写真で展示)を比べると
正倉院宝物のいかに保存状態が素晴らしいかということが一目瞭然にわかります。
(反対に東大寺の八角燈籠の火袋は大仏殿前のは大気の汚れで黄緑色に錆びたようになってますが。)
このコーナーに展示してあった
『石名取玉』というお手玉に似た遊戯玩具も素敵。

・・・と長々とお気に入りの展示物を羅列してしまいましたが
本当にわくわくと楽しい展覧会でした。是非是非お奨めです。

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展示替えがあって、4/27~5/23の期間だけ展示される『刺繡釈迦如来説法図 』や『倶舎曼荼羅 』。
また5/25以降展示される『東大寺戒壇院厨子扉絵図』も密かに楽しみにしているのですが
う〜ん、そうすると後2回は行かなきゃね。

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・・・・昨年、ほとんど県外の美術館を訪ねることなく知的満足美的満足をしていたのは
ひとえに、奈良の国立博物館での内容の濃い展示物に、非常に満足していたからだと思っています。
一つの特別展に、展示替えもある都合上、2度3度は訪れているのですが
友の会パスポートでは一つの展覧会に一度しか使えないというのが、ちょっと残念に思うのです。
せめて、2度目は半額でとかになれば嬉しいのですが。

また2~3年前まで、毎年お正月に開催されていた「新春国宝展」も
いつのまにか無くなってしまいましたが、毎年楽しみにしていたのです。
あの展覧会で、「国宝」指定されている名宝がどれほど素晴らしいものかに目覚めた私です。
是非再開してほしいなぁと願っています。
(新春らしい、いい展覧会でしたよね。)

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さて、この「大遣唐使展」が6/20で終了した後、6/21~7/20までは
全館休館になる博物館ですが、この期間に本館もリニューアル工事が入って
照明も一新され、あらたな「仏像展示館」として生まれかわるそうですよ。楽しみです。

「大遣唐使展」の詳細は博物館のHPをご覧下さい。→
また、このブログ記事に掲載の展示物の写真は図録から撮ったものです。