1/31のブログで予告しました「東大寺境内散策*奈良倶楽部流お奨めコース」を
そろそろシリーズで書いていきます。(やっと重い腰を上げましたが)
シリーズその①は東大寺境内の雑木林の散策について。
奈良倶楽部は、東大寺境内まで一番近い知足院で徒歩5分という立地にありますので
ご宿泊のお客様方には、朝食前や夕暮れ時など、拝観時間外でも
ぶらっと散策を楽しんでいただけるようにご案内をしています。
東大寺境内散策の醍醐味って何かなぁ。先日のブログでも少し書きましたが
世界遺産になっている伽藍や天平時代の仏像を拝観するのも魅力ではありますが
そんなすぐ傍に、今や雑木林となっている「講堂跡」や「東塔跡」を
歩いてみることこそ、奈良に流れる悠久の時間を感じていただけるのではと思っているのです。
大仏殿の裏手に位置する「講堂跡」は、人よりも鹿の方が多いくらいの
のどかな雰囲気のところですが
かつてこのあたり一帯には講堂と僧坊、食堂が建ち並び
たくさんの僧が学んでいたところでした。
何度か火災に遭いながらもその都度 再建されていたところですが
1508年の焼失以後 再建されることは無く
今では創建当時の礎石群が往時の姿をとどめるだけになっています。
でも、ここで全国から集まった多くの僧たちが経典や戒律について学び厳しい修行をしていたのだと
そういうことを想像しながらこの辺りを散策してみると
ふっと、遠い時空の向こうから立ちのぼってくる歴史が
確かな重みを持って感じられたりするのです。
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またもう一カ所、「東塔跡」あたりは
その周りの雑木林が四季折々とても美しい自然の調和を見せてくれるところで
塔が建っていた台地の上に立って、深呼吸しながら、360度四方をぐるっと見渡すだけで
気分がすぅーっと落ち着く場所なのであります。(あくまでも私にとってですが)
今では想像もできませんが、創建当時の塔は七重塔で、西塔の高さは102mもあったと伝えられています。
(大仏殿の高さが47mですから如何に巨大な塔であったことか!)
西塔は934年に落雷で、東塔は一度再建された後1362年に落雷で焼失し どちらの塔も再建されず今に至っています。
こういう雑木林や草原(くさはら)に分け入って行ってもいいのかしら?
初めて東大寺を訪れた方は、こういう場所すら目に入らないかもしれません。
大きな大仏さまの存在もあって、奈良のお寺は大きくて広々していていいなぁ・・
という印象を持たれる方も多いようですが
境内に囲いがなく(これは奈良公園もそうですし、春日大社や興福寺もそうですね。)
その境内にこのような自然が残っていることも
奈良の大らかさの魅力の一つになっていると思うのです。
講堂跡も東塔跡もその中を歩いてこそ。
四季折々の自然を満喫し、奈良に流れる時の流れや歴史の重みにも想いを馳せて
奈良歩きを楽しんでいただければと思います。
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予告:
東大寺境内散策シリーズ、次回その②は
「散策がてら触れることができる天平時代のもの」をピックアップしたいと思います。
その③は「歩いて見つけるちょっと蘊蓄もの」などを・・・。
時々シリーズになると思いますが乞うご期待^^