奈良国立博物館で「国宝 法隆寺金堂展」が始まり
初日の今日、早速行ってまいりました。
今年の2月に法隆寺を久しぶりに訪れた折に
金堂の中もゆっくり拝観したのでしたが、
堂内はかなり暗くて、たくさんの仏さま達の姿を
印象深く目に留めることはできませんでした。
(以前の「法隆寺展」で鑑賞した天蓋の素晴らしさを
もう一度ナマで見たいと目を凝らしてそちらばかり。
また、入江さんの写真で見た四天王像の足元の邪鬼も
気になって、そんなところを一生懸命見ていたっけ。)
だから博物館の空間で展示されている四天王像が
これほどリアルにくっきりと目に飛び込んできて
つい4ヶ月前に見た時と印象があまりに違うのが
新鮮で大きな驚きです。
360度、背中も見れます。
仏さまの背中は普段見れないので、
こういう機会の時の仏像には人間くささを感じて
親しみを覚えてしまいます。
(やっぱり肩とか腰とかのラインがいいですね。)
会期前半は四天王の内、広目天、多聞天の二体のみ。
持国天、増長天と四体揃うのは7/1からです。
四体揃って寺外へ出られるのは初めてらしいので
7月になったらもう一度行ってみようかと思っています。
飛鳥時代に造られた日本最古の四天王、
東大寺戒壇院や三月堂、興福寺東金堂や北円堂などにある
四天王像とは趣きが全然違って、中国大陸のイメージが濃厚。
『仏像は本来あるべき場所であるべき姿で
祈りの対象として拝するもの』という考え方もありますが、
こうして細部まで鑑賞できることで、
その仏像が私の中で具体的なものとして
意味を持ち、より身近に感じられる。
何より1300年以上も前の超一級品の芸術に触れ
この上ない喜びを感じられるのは幸せなこと。
その他に、天蓋も間近(目の高さ)に展示されていて
やはりこれはすごいものですね!何度見ても感動です。
展示室一室のみの展示でしたが、かなり濃厚な内容で
たっぷり堪能、満足できますよ。
(一室のみの展示の方が集中力が途切れなくて私は好き)
二室目の展示室には特別陳列「建築を表現する」が
同時開催されています。(「法隆寺金堂」展のチケットで入場できる)
建築表現として建物が描かれている『信貴山縁起絵巻〈飛倉巻〉』が
なんとここに出ていて、国宝の絵巻をじっくりと拝見♪
また第三室目(西新館)では「繍仏と染織の美」が展示されていて、
右手真ん中あたりに展示されている青磁のお椀とお皿に
私の目は釘付け!
鎌倉時代の出雲地方の古墓出土品で中国南宋時代の龍泉窯のもの。
でもまるで李朝の青磁ではないですか!かっこいい!
その隣の奈良正暦寺の牡丹唐草文の青磁鉢も民芸好きが見たら
ひとたまりもない素晴らしさですよ!(同じく南宋時代の龍泉窯)
正面中央には中宮寺の『天寿国繍帳』(国宝)が(7/13まで)。
これも刺繍好き、手芸好き、布好きが見たら卒倒モノの素晴らしさです。
「法隆寺金堂」展だけでなく、どうぞゆっくり奈良の国立博物館を
ご覧になってくださいね。(勿論常設展も!)
飛天図
天蓋
四天王像
(写真は絵ハガキより)
法隆寺金堂(撮影2/7)
「国宝 法隆寺金堂展」
会期:6/14(土)~7/21(月・祝)
会場:奈良国立博物館東新館
休館日:毎週月曜日(7/21は開館)
開館時間:9:30~17:00(毎週金曜日は19:00まで)
公開講座:
6/14(土)「年輪から法隆寺西院伽藍と
金堂天蓋の年代を読み解く」
総合地球環境学研究所客員教授 光谷拓実
6/21(土)「法隆寺金堂壁画の世界」
東大寺総合文化センター設立準備室長 梶谷亮治
6/28(土)「法隆寺金堂の金石文と聖徳太子」
奈良大学教授 東野治之
7/12(土)「法隆寺金堂四天王像の諸問題」
奈良国立博物館学芸部部長補佐 岩田茂樹
7/19(土)「建築史からみる法隆寺金堂」
元奈良国立文化財研究所所長 鈴木嘉吉
※午後1時30分~3時。
(開場午後1時、講堂入口で整理券を配布します)
国立博物館講堂にて。聴講無料、定員200名。
サンデートーク:
7/20(日)「法隆寺金堂台座の絵を読み解く」
奈良国立博物館研究員 谷口耕生
※午後2時~3時30分。(開場午後1時30分)
国立博物館講堂にて。聴講無料。
小さなホテル奈良倶楽部