2010年4月13日火曜日

「三岸節子展」へ*



今日は久しぶりに奈良県外へ出て美術鑑賞を楽しみました。
三岸節子さんは好きな画家の一人。
1995年の季刊「銀花」103号も三岸さんが特集されたので持っているのですが。

そこに書いてあった三岸さんの文章。
毎日デッサンをすること。デッサンは絵画の発見の端緒である。
絵が描けなくなった時、デッサンは絵画を教える。生活に退屈した時デッサンは緊張を与える。
常住座臥デッサンを怠ってはいけない。デッサンはものの形を模することではなく、
自然の形をひきだし記憶する手段である。形態の発見である。

デッサンはものの形を模することではなく、自然の形をひきだし記憶する手段である・・・
う〜んん、なるほど。

今回の作品展でも、作品の横に作家の言葉が記されているものが何点かあり
どれもが含蓄のある言葉で、心の底に沁み入るのです。
また、20代から渡仏する前年の62歳までを壮年期としてひとくくりにしてあったのが
個人的には壮年期がまだまだ62歳までいけるんだ、と微笑ましくもあったり急に勇気凛々したり。

制作年を西暦ではなく作家の年齢で表示してあったのもわかりやすく
60歳代以降の作品群に感じられるとんでもなく力強いパワーに
一緒に美術鑑賞を楽しんだ友人達や夫もそれぞれ全員が力強いメッセージをもらったようで
みんなで感想を語り合えるのもまた楽し、でした。
(友人の一人のブログはこちら。)

私は三岸さんの80歳代の作品がどれも好き。

特に「エッフェル塔」を描いたもの。マチエールは白のジェッソのみ。
塗られている油絵の具はほとんどそのまま生で使用されているような気がするのですが
とんでもないスケール感とシンプルな美しさ。単純な色彩構成の癖に奥深い。
こんな風に簡単に描ければどれほどいいかと思って観ていたら

もう何年もエッフェル塔を見ていて、どうやって描いたらいいものかと思案し続けていたある日
夕立の後に虹が出て街が金色に輝いたその瞬間にエッフェル塔とパリの街を
ようやく自分流に描けると閃いたそうで。
家の窓から見えるエッフェル塔を描くに値するこのような一瞬を、ただひたすら待っていて捉えたというのがやっぱりすごいと思うのです。
会場を出てから販売してあったデッサン帳を何気に見ていたら
エッフェル塔もすごいデッサンをされていたのでした。
美術鑑賞だけでなく生き方のスタイルまで色々考えてしまった作品展でした。

『三岸節子展』
4/19まで大阪高島屋にて。詳細はこちらに。