2010年3月1日月曜日

興福寺国宝館がリニューアルオープン☆

  

興福寺の国宝館がリニューアルオープンしましたので早速行ってきました。

私は、今までの国宝館の展示の様子があまり好きでなかったので
このリニューアルにはちょっと期するものがありました。

昨年開催されました「国宝 阿修羅展」では、東京や九州で
アート好きの審美眼を持つ人達を唸らせた展示空間が構成されてましたので
奈良でもきっとそのような空間構成がなされるはず、できるはず!と
期待を込めてドキドキしながら入場しました。

(前置きが長くなりましたが)奈良興福寺国宝館☆素晴らしいです!ブラボー!
ああ、あの空間がこういう風にリニューアルするなんて・・・と感無量になってしまいました。

急いで帰宅してこの記事を書いていますので、かなり興奮していますがお許し下さい。


何がこれほど魅力的なのか、思い出しながら展示空間を振り返ってみます。

国宝館自体の面積は変わっていなのですが、この建物の中を回廊のようにうまく仕切って
まるで博物館で鑑賞しているようなインパクトを入ってすぐに感じました。

最初の展示スペースは「中金堂と鎮壇具」
細長いスペースに大変観やすく展示されています。

中金堂は創建以来7回の火災にあいながらもその都度再建されてきましたが
1717年に焼失してから、現在悲願の再建にむけてプロジェクトが動き出しています。
(2010年10月に立柱式を行い、完成は2015年の予定です。興福寺のHP内中金堂についてはこちら
「鎮壇具(ちんだんぐ)」とは須弥壇の下に納めて建造の無事をいのるためものですが
中金堂の鎮壇具は、圧倒的な種類と量と豪華さを誇ります。さすが藤原不比等。
水晶や真珠なの鎮壇具の一つ一つ、どれをとってもほ〜と溜息。綺麗です〜。
(並べ方とか配置の仕方もアートでセンスよくってかわいいです!)

そのまま細い回廊を進むと、その列びに「板彫り十二神将」が十二体並んでいます。
そう、阿修羅さんたちお留守の折に、国宝館に陳列されていたものです。
あの時、国宝館のおじさんに「これが十二体揃うことは滅多に無いし、これからも無いよ」と
言われたのに、(お客様にもそう言ってご案内したのに・・)揃ってるじゃん!と言いながらも
嬉しいサプライズにテンション上がりまくり。思わずありがとーと叫びそうになりました。

あの時、国宝館で観たのより断然素晴らしく判りやすく鑑賞できるのは
きっと照明などの工夫が素晴らしいのでしょうね。
木目がすごく上手く生かされていて、この彫刻は絶対傑作だと思う。
ここでもう一度 再会できて何より嬉しかったです。

さて、建物の内部の外側にこのような細い回廊があって
奥の回廊には、奈良時代の梵鐘や南円堂前にあった灯籠などがさりげなく展示されていて
さすがは興福寺、さすがは藤原氏。すごいすごいと感心しながら

次のスペースは「西金堂に伝わる鎌倉彫刻」のコーナーです。
法相六祖像やご存知金剛力士像、天燈鬼に龍燈鬼と西金堂の火災から護られた
鎌倉時代の仏教彫刻が並びます。
このコーナーの最後の方にあった、
弥勒菩薩像の厨子の中に小さな飛天が宙吊りで舞うように作られているものなども素晴らしいなぁ。

そして最後は「西金堂に伝わる天平彫刻」のコーナーで
阿修羅像を含む八部衆や十大弟子像などが、ガラスケース無しの素晴らしい展示で
お迎えして下さいます。

国宝館のちょうど中央に位置している千手観音像や
その右手に釈迦如来像や阿弥陀如来像、左手に化仏飛天が空中を飛ぶような展示。
それらが阿修羅像の展示スペースからいい形で鑑賞、拝観できるようになっています。

今までの国宝館で何度も観ていたものも
初めて会ったような新鮮な気持ちで鑑賞できたこと。

博物館的に仏像なども配されて、どうしても仏教美術として鑑賞してしまいそうですが
そこからまだ一歩踏み込んで、荘厳な安置の仕方をされているので
私自身、思わず合掌してしまう場面が何度もありました。
かなり素直な気持ちで観ることができて清々しい気分でした。

また、阿修羅像だけが強引に目立つこと無く
もっと位階の素晴らしい仏像に敬意を持った意志ある展示内容にすごい満足をしました。
あんまりよかったので、ここが興福寺の本堂かと思ってしまったくらい。(冗談ですが)

国宝館リニューアル、充分楽しめました。ありがとうございました。