2010年2月16日火曜日

勝手に総括「なら瑠璃絵」

閑散期の冬の奈良に観光客を呼び込もう!と企画された「なら瑠璃絵」の
来場者が予想の10万人を超え、27万7000人(推計)に達したと発表されましたね。
そして、冬の新たな風物詩として、来年度以降も継続的に実施されるようです。

今年初めて行われたイベントでしたので、すぐに宿泊に結びつくことはなかったのですが
観光産業の端くれにいます私も、このニュースを知ってほっとしています。


今では全国的に知られるようになった夏の「燈花会」も10年前の始まった時は
まだこのイベントのために宿泊して下さる方も少なく、たまたま奈良に来て
こういうことをしているという偶然をお客様が喜んで下さるような感じでした。
(「燈花会」が始まった頃より以前の奈良の夏は、完全なオフシーズンだったんですよ。
今では想像できないでしょうけれど・・・。)

初めて「燈花会」を見た時の、奈良らしいイベントだなぁという印象。
これはいいイベントになっていくのでは・・・と思った通りの盛況なイベントになりましたが

私は冬の「なら瑠璃絵」にも、これはきっといいイベントになるよという印象を感じました。
でも本音を言えば、改良の余地有りという箇所もいっぱいあって。

労力もお金も出せずにいて、口を出すのは憚れることかもしれませんが
より良きイベントに進化していただきたいこともあって
一来場者の立場と観光産業従事者の立場を合わせた目線で
気がついたところなどを、ここで気ままに綴ってみたいと思います。

  
↑ こちらは春日大社参道の一部分の木々に吊るされた光のイルミネーション。
滴(しずく)をイメージしてあるのではと思いました。
↓ こちらは浮雲園地の木々に吊るされた光の球です。宿り木を思い浮かべました。
 
光の滴と光の宿り木。どちらもいいアイデアだなぁと思いましたが
圧倒的なボリューム感がないので、その良さがうまく表現出来ていない印象でした。
もし予算的にOKならもう少し数を増やすだけで、写真映えもすると思うのです。
(吊るしている面積は今のままでもよいと思います。広範囲にならない方がかえって綺麗です。)

またこのイベントの時期をバレンタインにかけているので、バレンタインをテーマに徹底的にこだわってほしいです。
例えば宿り木だったら・・・恋人同士が宿り木の下でキスをすると結婚の約束を交わしたことを意味する・・・という言伝えなどをうまくひっかけたり。

バレンタインに絡めてという点では、こちらのブログでも

お寺や神社は、縁結びご利益方面で、積極的に出番をもっていいただくとか…?
たとえば春日大社の縁結び・夫婦円満の夫婦大国社のお守り。

「なら瑠璃絵 縁結びお守り」(少子化対策にも貢献しそう!)
熟年カップル(夫婦)が、これからも末永く仲良く暮らしていけるように、
「なら瑠璃絵 スィート結婚記念お守り」(平穏な老後のために!)

・・・というような、いいアイデアを書いてらっしゃいましたよ。





若草山に描かれたイルミネーションは「七夕」からイメージした「天の川」でしたが
これも多分バレンタインにかけて、織り姫と彦星の一年に一度のデートを描いているのかなぁと思ったのですが
毎年同じデザインだったらきっと飽きちゃうだろうなぁ。
若草山の光のデザインは遠くからでも、どこからでも見えてとてもよかったので
ここに描かれる絵柄を募集して決めたりとか。

また最初は、レーザー光線なんてどうよ・・と思っていたのですがこれが案外面白いのです。
最終日にはレーザー光線が出ていなかったようでしたが、ひょっとして電力不足だったのかな?

光のデザインといえば、鹿の立体的なオブジェを小さな電球で作って森の中に配置しても奈良らしいよね。

春日大社の万燈籠はさすが伝統の重みと申しましょうか。
非常に評判がよかったようです。
宿泊の方にとっても、中元万燈籠や節分万燈籠の時期に来ないと見れなかったものが
この時期に見られたので、お客様も喜んでらっしゃいました。

でもそれに比べて興福寺のイルミネーションは少なすぎましたね。
奈良駅から、このイベントの玄関口になるところなんだし、もうちょっと何とかしてほしいです。
春日大社、東大寺の三社寺を結ぶ「光の回廊」と銘打っておきながら
どこがやねん!とツッコミを入れてしまいましたよ。

  ↓         ↓ 灯りはこれだけでしたものね・・。
  
                        ↑ 中金堂の仮枠に電飾するくらいの気概が欲しい!


東大寺も鏡池の周りのライトは綺麗でしたが、やっぱり圧倒的にボリューム感が足らないと思いました。
 ←この灯りは、青色の灯りと違ってお寺の雰囲気に合っていてよかったのですが

昨年3月に京都八坂神社祇園一帯で行われていた「花灯路」というイベントで見た
灯りのデザインなども取り入れてもいいのではと思いました。
京都で見た灯りの一例→ 
こういうのを浮雲園地や春日園地に「燈花会」のように置いても綺麗なのでは。

また国立博物館の竹のオブジェ自体はよかったのですが
あれに色とりどりの光が当たる、本館前のは、ちょっと痛々しい感じがしました。
多分予算の関係で、あんな光の使い方しかできなかったのだろうなぁと推察したのですが。
お昼間に見た竹のオブジェの良さを生かしきれていないよね。
竹の中に小さな電球を配置してオブジェが暗闇に形作られ浮かび上がるような
光のデザインだったらよりよかったのにと思いました。

博物館本館の美しいライトアップが台無しになっているよ・・。 

竹のオブジェの昼と夜の様子。 

そしてメイン会場のメイン電飾。
 
ゴールドとブルーの配色に、あちらこちらのブログから「??」な感想もきかれましたが
今まで奈良になかった、この強烈な個性。ようやった!と誉めてあげたい。
多分勇気が入ったと思うのです。あのレーザー光線も。
でもここにこれがあることによって、このイベントの面白さが充分に伝わると思うのです。

何しろ初めての試みで、人それぞれの好みもあって
色んな意見があって当然だと思います。
私もイルミネーションのデザインについて、感じたことを勝手気ままに書きましたが
これも、こんな風に感じている人もいるんだと思っていただければと。

2万個の灯りからスタートした夏の「燈花会」。
最初は浮雲園地、浮見堂、浅茅ヶ原、猿沢池だけだっとように思います。
それが年を重ねていくうちに開催エリアも広範囲になり、灯りの数も10万個になり
寺社や県庁や奈良町のお店の路地も参加するようになり・・・と
今や「燈花会」は、奈良中で地元の人も、訪れた観光客の方も
灯りを灯すボランティアの方々も楽しめる、奈良の夏の風物詩として定着したイベントに成長しています。

きっと「なら瑠璃絵」もそのような素敵な、奈良の冬の風物詩になると思うのです☆