2009年7月21日火曜日

奈良国立博物館「聖地寧波―日本仏教1300年の源流」展

  

昨日、奈良国立博物館で開催中の「聖地寧波―日本仏教1300年の源流」展を観に行きました。

「寧波(ニンポー)」という聞きなれない地名。
馴染みの薄い名前が展覧会名についている・・・。

奈良国立博物館で開催されました、一昨年の「美麗」そして昨年の「天馬」
私にとって馴染みのない名前がついた展覧会が、どちらも素晴らしく充実した内容でありましたので
展覧会名から内容が想像しにくいながらも、今回も期待に胸ふるわせて行ってきました。
そして、やはり期待を裏切らない、凄い凄い!見どころいっぱいの展覧会でありました。


寧波は古来より中国有数の港として栄え、中国仏教の一大中心地でもあり
日中交流の窓口となってきたところです。 この展覧会では
寧波からわが国にもたらされた仏像・仏画等の名品、仏教美術の数々を一堂に展示しています。

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では、鑑賞後のお楽しみ♪ 数々の名品の中から
個人的なお気に入りをリストアップします☆

仏像では++
パンフレットに載っている『観音菩薩坐像〈楊貴妃観音〉』(京都・泉涌寺)(展示は8/2まで)は
頭部の飾りがとても美しいし、左脇に位置する『韋駄天立像』もかっこいい。
同室に展示されていた『観音菩薩坐像』(神奈川・清雲寺 )(展示は8/2まで)は片膝をついたポーズが素敵。
そして『釈迦如来立像』(京都・清凉寺/国宝)といったら何て美しいのでしょう!
博物館の中でも思わず合掌してしまう・・・そのような気品のある仏さまでした。(展示は7/30まで)
この釈迦如来像の中に納入されていたものも展示されていて、その中でも
『絹製五臓』が複製品でしたが、中々面白いなあと思いました。


工芸品では++
さすが道長!と感じ入るくらい素晴らしい『藤原道長経筒』(国宝)や、
沈没船から引き上げられた『青白磁梅瓶』など、工芸のお気に入りは買いたい目線で選んでしまいます。

書では++
道元の筆になる『普勧坐禅儀』や栄西の『唐墨筆献上状』などに
高名な僧による墨書を今の時代に見ることの不思議を感じました。

絵画では++
絵画好きの私は、雪舟の『破墨山水図』もよかったけれど、何といっても『五百羅漢図』を一番に挙げたい。
大徳寺に伝わる『五百羅漢図』は元々100幅(1幅に5人の羅漢さんが描かれて合計500人)あったのですが
明治初年頃に幾つかがアメリカに渡り(アメリカに渡ったうち2幅が里帰り展示されている)
大徳寺に現存するのは82幅。この82幅が、展示替え3回に分けて全幅が期間中に奈良国立博物館にきます。

『五百羅漢図』というのは初めて観ましたが、これはこれは、絵画的にも素晴らしいものですね。
絵を観たのも初めてですが、そもそも羅漢さんって何なんでしょうか?

羅漢とは、修業を積んで仏に近づいた存在で、特別な能力を持っています。
『五百羅漢図』の羅漢さん達は、寧波の近くにある天台山辺りで500人で集団生活をしているようで
100幅の絵画の中では、その羅漢さん達の日常生活などが生き生きと描かれています。

選ばれたモチーフ・画題がまず面白いのだけれど、そこに描かれた人や動物や仙人や鬼や
どれもこれもが動きがあって、とっても絵が上手い。
博物館のサイトの中の『五百羅漢図』一覧表を見ていると
「虎の歯磨き(展示期間:8/18-8/30)」というのがあって、思わず笑ってしまった。
今回の展示の中でも、3頭の鹿が花束を銜えて羅漢さんに捧げている絵があって
その鹿の顔が何ともいえないくらい微笑ましいのですよ。

見ていて、見飽きない『五百羅漢図』。
奈良に住む者の特権として、3度の展示替えなんか物ともせずに、よっしゃ全部観に行くぞ☆

**で、ここでお願い。
こういう私のような人のために、2度目、3度目の鑑賞は少しずつお安くなるような
システムを作ってほしいなぁと思います。
(友の会のパスポートと、いただいた招待券などで鑑賞している私が言うのも何ですが・・・。)

とにかく、メチャクチャ中身の濃かった充実の展覧会。
たっぷり時間を取って(2時間では足らなかった)体力も蓄えて鑑賞されることをお奨めします。

展覧会の詳しい内容は奈良博のサイトを参照して下さい。
夏休み期間ということもあって、小中学生向けの催し(映画やカルタ大会)もありますよ。
大人の方には公開講座やサンデートークなどの催しも。

また、観覧券につきましては
・8/13・8/14・8/15は小・中学生の観覧料金が無料に。
・7/22・8/22は「夫婦の日」につき、ご夫婦で観覧される場合は一般料金の半額に。
・前売券は会期中でも近鉄の主要駅などで販売されています。


「聖地寧波―日本仏教1300年の源流」展

会 期: 2009年7/18(土)~8/30(日)
会 場:奈良国立博物館 東・西新館
休館日:毎週月曜日 ただし7/20(祝)と8/17は開館し、7/21(火)は休館
開館時間: 9:30~17:00(入館は閉館の30分前まで)
※毎週金曜日および8/13(木)・8/15(土)・8/16(日)は19:00まで開館