さて、28日の夕刻には「大中臣祓(おおなかとみのはらえ)」という
清めの儀式が二月堂下、参籠宿所前で行われます。
作法を行うのは密教的な作法を司る「咒師(しゅし)」で、
今年は橋村公英・教学執事が務められます。
18:00頃まず「お祓(はら)いにござろう、お祓いにござろう」という声が
参籠宿所から響き、宿所から出てこられた練行衆は細殿(登廊入り口)へ。
ここで咒師にお祓いしてもらうのを、身を屈めて待っておられます。
松明の火に照らされる咒師の橋村公英師。
練行衆が並んでかがむと、松明の火を前に作法を始め、
祓詞を黙読されます。とても静かで厳かな感じでした。
御幣を振り、祓い清めの儀式を行うのですが
咒師はこの時左肩に掛けていた袈裟を外します。
僧から神職に変わるという意味があるそうです。
お祓いの言葉を暗誦されているところ。 その場は何ともいえない静謐な場となり
同じ場所にいる人達 皆さん同じ想いを共有していると思いました。
御幣を大きく振って場を祓い清めます。
細殿で待つ練行衆にもお祓いをします。
その後、二月堂にも結界が張られました。
練行衆の参籠宿所はこんな様子です。
「大中臣祓」は別名「天狗寄せ」ともいうそうで
春を待ちかねて天狗が集まって嵐を呼び、修二会の邪魔をしたことから
天狗を呼び寄せてお祓いしたという伝説があります。
15分くらいの短かい時間でしたが
神仏習合をうかがわせる神秘的な儀式で
この場に居合わせた自分までもが清められたような
とても厳かな清々しい気持ちをいただきました。
小さなホテル奈良倶楽部