2008年7月22日火曜日

鹿せんべいづくりの「武田商店」見学へ

不定期連載~「奈良倶楽部通信」夏休み特集~~~

昨日のブログで予告しました”子供も楽しめる面白い奈良”第一弾は

☆★☆★「鹿せんべい」の巻 ☆★☆★

奈良公園に行って鹿にせんべいをあげたことがある方も多いはず。

でもあの「鹿せんべい」がどうやって作られているのか
あまり知られていませんよね。



「鹿せんべい」製造元の武田商店さん。
奈良阪町という般若寺のもうちょっと北の方にあって、
意外に奈良倶楽部と近いところにあるのです。

ちょうど7,8月の午前中なら見学OKということで(要予約)
早速行ってまいりました。

玄関から通路を奥へ入ったところに工房があります。


鹿せんべいの原材料は小麦粉と米糠。
これを水でまぜてから、たっぷりの「愛情」をまぶすそうで

それから原料をこの機械にホースで流し込みます。


ホースから流し込まれたせんべいのタネを型に流します。
鉄板の上に流した型の上から別の鉄板で押さえ
平たく丸く伸ばして焼いていきます。


上の写真の左側部分の長方形の中を5~6分かけて一周して
まわっている間に程よく焼かれます。

この機械の中には150枚のせんべいが同時に焼かれています。

一周して焼きあがったせんべいはここで鉄板から落とされます。


せんべいが落ちた後の鉄板に薄く油をひいていきます。


機械が回っている間はつきっきりの手作業仕事。
夏場は暑くてかなりの重労働です。

焼きあがったせんべいは大きさを揃えて10枚一くくりに。
これも手作業の仕事です。
作業場には熟練の3人が次から次へと数をこなしていかれてました。



写真、左の箱に入っているのが奈良公園の鹿用のせんべい。
こちらは、鹿のマークが入った証紙で包まれています。

「鹿せんべい」は、財団法人奈良の鹿愛護会の登録商標で、
売り上げ の一部が「奈良のシカ」の保護に役立てられています。

そして右の箱に入っているのが全国の動物園やサファリパークなどへ
出荷されている無印マークのせんべいです。

奈良の「鹿せんべい」の直径は約9cm。
それより大きい物は○○サファリとか小さい物は△△動物園とか行き先が
決まっているそうで、食べるのは鹿だけじゃなくて
羊や馬など草食動物一般らしいです。

鹿せんべい製造業者は全国でも奈良市にある5軒だけだそうです。

鹿の健康を考えて砂糖などは一切使用せず米糠と小麦粉だけが原材料。

味がないのに工房には何ともいえない香ばしい美味しそうな匂いが漂って
私は思わず「これ、人間は食べられないのですか?」と尋ねてみました。

「原材料的には大丈夫だけど、奈良公園で売られているのは
何度も人の手を経てるし埃もかぶっているしで
衛生面で保障できないので絶対食べないで下さい」とのこと。

「でもここで焼きたてだったら大丈夫だから一つどうぞ」と手渡され
香ばしい匂いに思わずパクっといっちゃいました。
木の実を擂り潰して水で溶いて焼いた縄文クッキーの味みたいかな。
ホント無添加です。案外いけましたよ。

ところで、TVドラマ「鹿男あをによし」の影響で
鹿せんべいの売れ行きが伸びているそうで、武田商店さんでも
春・秋の繁忙期は一日13時間も機械を稼動させているとのこと。

主人公の玉木宏さんが、鹿せんべいを与えながら
鹿と話をする場面が何度も登場してましたものね。
テレビの効果ってすごいですね。

最後にちょっとお願い。。。

奈良公園の鹿には絶対に人間の食べ物を与えないで下さいね。

ビニールや弁当箱などのゴミを食べて消化器を詰まらせたり、
人間のお菓子で消化不良を起こしたり中毒を起こすことがあるのです。

これは人間がしっかり注意すれば防げることですものね!

不定期連載”子供も楽しめる面白い奈良”シリーズ
次の予告は「鹿せんべい飛ばし大会」のお知らせです~。(続く)

「武田商店」

住所:奈良市奈良阪町2476-2
tel:0742-22-4853
見学時間:8:00~12:00(要予約)
休館日:毎日曜日と、春(4・5・6月)と秋(10・11月)は休館

小さなホテル奈良倶楽部