2008年1月10日木曜日

四国一人旅~その1 猪熊弦一郎現代美術館と金刀比羅宮 書院の美 展へ~

1月8日~9日と一泊で四国への一人旅++

1月いっぱいまで開催中の「金刀比羅宮 書院の美」展を見るのが旅の目的なんですが、
どうせ行くならずうっと行きたかった直島もくっつけようと計画して宿泊付きの旅を計画。

老犬を連れても預けても行けないので、夫にお留守番をお願いして今回は私一人で行きました。
旅先に誰も知り合いのいない純粋な一人旅はひょっとして初めてかもしれない・・・。

この際だからしっかりと「一人旅」というものがどういうものか味わって、
また奈良倶楽部へお泊まりいただくお一人さまへの心遣いに活かせるように・・・という、
どう転んでも仕事に結び付けて(笑)しっかりと堪能してきました☆


この日は朝早く出発してもう10時には丸亀の猪熊弦一郎現代美術館に着いていました。
生まれて初めての四国です。





この美術館は先日行った豊田市美術館と同じ建築家・谷口吉生氏の設計です。
建物の雰囲気にこの人らしい柔らかさがあって、私はとても好きです。

その後は一路、旅のメインである金刀比羅宮へ急ぎます。

金毘羅さん、噂には聞いていましたが、本当にすごい階段でした。

階段両脇にずらっと並ぶどのお店の店頭にも自由に使っていい杖が置いてあります。

疲れた人のための駕籠屋もあり。

めざすは「書院の美」展 

実はこの展覧会はすでに昨年の夏、東京芸大の美術館で見ているのですが・・・

その後、香住にある大乗寺で円山応挙一門の襖絵を、
『自然光の中で座敷に坐ってゆっくり鑑賞する』という、襖絵が描かれた当初と同じ環境で鑑賞すれば、本来のイメージで絵を観ることができるという鑑賞方法を教えていただいてから、
どうしてももう一度現場で観たくなって、今回金刀比羅宮まで足を運んだのでした。

例えば・・・

若冲の「花丸図」を例にあげてみると、
(写真は絵葉書を映しています)

この若冲の絵がある奥書院は別当のプライベート空間として使われていたところで、特に「花丸図」の部屋は外へ繋がっていない閉ざされた部屋なので、自然光も入ってこない蝋燭の灯りだけの昼間でも薄暗い部屋であるということが、現場に行かないとわからない・・・。
現場で、薄暗い部屋の中で、こういう派手な装飾の絵を見ると、豪華絢爛とひとくくりのイメージだけではくくれないものを感じました。

現場で見るのと、美術館で見るのとでは、隣の部屋との繋がりや外との繋がりなどもわからないので絵そのものに対するイメージが随分違ってきます。
美術館ではその絵だけをピンポイントで鑑賞しますが、現場では隣との繋がりも絵の中で重要な役割を持っているのですね。

これは大乗寺でもそうでしたが、

円山応挙の瀑布古松図(山水の間)の見事な滝は縁側の外の小川に流れるように描かれていますし、上段の間に坐る殿様の目線になってその部屋全体を見てみると、正面からしか鑑賞していない私達には見えない何かが感じられそうで、やっぱり面白いなあと思いました。

虎の間の遊虎図も、広々とした座敷に入って坐ってじっくり鑑賞できます。

 (絵葉書より)

勿論ガラスケースには入ってません。
(普段は表書院までは鑑賞できるそうですが、ガラスケースで覆われているそうです)

自然光の中でその時代の人の目線で(座敷だから坐った高さで)鑑賞するということを大乗寺で教わってから、美術館の中の展示ケースの中で蛍光灯の灯りを煌々と直接あてられているような展示の仕方に疑問を感じるようになり、東京芸大で見た襖絵と同じ物を、こうも違って見ること感じることができるのかとびっくりしています。

岸岱(がんたい)の「水辺柳樹白鷺図」・・・圧倒的な数の柳の葉、すごい重量、ダイナミックさ!葉っぱの上に毛虫も発見しました。
同じく岸岱の「群蝶図」、ちゃんと部屋の上部を飾ってあり、大好きな作品です。

 岸岱の菖蒲の間(絵葉書より)

奥書院は最初、若冲の作品ばかりだったそうですが、描かれて70~80年後に傷みが激しくて、その頃訪れた岸岱が若冲の代わりの襖絵を描きたいと申し出て、絵が入れ替わったらしいです。(花丸図だけは残った)

邨田丹陵の「富士山図」と「富士巻狩図」も現場ならではのダイナミズム!富士の稜線の美しいこと!

美術鑑賞になると少々テンション高くなって(笑)書いていますが、私の文章力では言い表せないくらい行ってよかった!という展覧会でした。

最後に白書院は新しく、現代の美術家・田窪恭治氏が椿の花をモチーフにした絵をオイルパステルで現在も製作中で、これもかなり面白いなあと思いました。



境内の中にあるレストラン「神椿」資生堂パーラーが運営されてます。
壁面を飾る椿の陶板は白書院の壁画を手掛ける田窪恭治氏のものです。

「書院の美」展を観たあとは、金刀比羅宮の神さまにお参りです。



本宮参拝のあと、まだまだ階段を登って登って頑張って奥の院までお参りしてきました。
合計1368段、海抜421mのところにある、奥社とそこからの眺めです。




そして夕方5時過ぎ、琴平駅からJRで高松へ・・・。
私の楽しい一人旅はまだ続きます。

小さなホテル奈良倶楽部