2008年1月12日土曜日

四国一人旅~その3 直島地中美術館~

四国一人旅2日目、いよいよフェリーで直島です。





高松から直島の港まで50分くらい、港からお目当ての地中美術館までは、
島の循環バス(1回100円)で20分くらいです。

バスはフェリーに合わせて運行されているようなので1時間に2本くらいしかなくても不便を感じません。



チケットセンター前にバスが停まって、ここで注意事項などの説明を受け各自カメラを預けます。
(撮影絶対禁止ということで・・・)

写真がないので、うまく伝えられるかどうかわかりませんが、
地中美術館は、ひとことで言えば、本当にすごい美術館でした!

私が今まで行った見た美術館の中でも、まちがいなく最高の美術館ではないかと思いました。

この美術館は、「クロード・モネ」「ウォルター・デ・マリア」「ジェームズ・タレル」の3人の作家だけの作品が展示されているだけで、
何の予備知識もなく訪れたものですから、「え?3人だけ?」と最初びっくりしましたが、
なんのなんの、ものすごく中身が濃いのです。
何人、何点展示したからいい というのではないことがはっきりわかりました。

大体一人一室の展示スペースですが、(タレルだけは3室)

最初のモネのところで脱帽でした。

まず靴を脱いで・・・作品展示室までに一室何もない部屋があり、そこから作品展示室に入る入り口が、正面に見える「睡蓮の池」(200x300)がちょうど綺麗に見えるように切り取られた大きさで、ここで思わず歓声を心の中であげてしまいました。

この部屋には各壁面に4点の作品が展示されています。

床は2cm四方くらいの面取りされた大理石が一面に埋まっていて、スリッパで歩き心地が非常にいいのです。
(極上の空間にいることが足元から実感できるのです。)

壁、天井、床どこもがきれいな乳白色で、天井から自然光が間接的に作品を照らします。
見渡すと明かりはそこだけでした。
この日は快晴だったので、思わず地中にあるのを忘れてしまいそうな明るい室内でしたが、雨の日はどんな感じになるのでしょうね。


作品以外はすべて乳白色の空間。
あとで、パンフを読んだら『部屋のサイズ、デザイン、素材は、モネの絵画と空間を一体にするために選定されました。』と書いてありましたが、

モネの絵画のために、一番よく見えるために作られた展示空間。

展示する者が作品に敬意を表しているのがよく伝わって、
これこそ美術館の理想の姿ではないかと思いました。

もうここで私はワクワクものすごく嬉しくなって心の中で飛跳ねていました☆


次の部屋がジェームズ・タレル。

『光そのものをアートとして提示するジェームズ・タレルの作品は、それを正確に体験するためのスペースを伴うものであり、
形態やサイズはタレル本人によって設計されます。』(パンフより抜粋)

3つの作品が3つの部屋で展示されていて、
最初の作品「オープン・フィールド」は、光の中で視覚が惑わされて感じる不思議な感覚を体験でき、鑑賞者が能動的に関われる面白い作品です。

その部屋から出て、次の「オープン・スカイ」は、半分屋外でコンクリートで囲まれ、天空に四角く切り取られた空が見える、
なんともいえないくらい憩えるスペースで、ずうっとそこでぼーっとしたり、
思索に耽ったりしておりました。


最後の作家はウォルター・デ・マリア。

B2F(モネやタレルの作品があるところ)からB3F(ウォルター・デ・マリアの展示室)へ降りていくのですが、ここのスロープ部分の建築がすごくアートでした。
安藤忠雄氏、かなり見直しました。

 スロープ部分の写真(パンフより撮った写真)

ウォルター・デ・マリアの「タイム/タイムレス/ノー・タイム」(パンフより撮った写真)

この作家も厳密な寸法とともに空間を構成しています。
空間に配置された直径2・2mの球体に、天空に切り取られた長方形から見える青空が映し出されて、無機質な空間に自然という表情をアクセントしています。
この長方形はちょうど東西に位置しているそうで、日の出から日没までの間、作品の表情が刻々と変化していくということです。

この部屋、この空間を構成しているものが何か神々しいもののように感じられて、私には教会の中にいるような気がしました。

どの展示室からも、優しさに包まれるという感覚、羽ばたいていけるという期待感、祈り、敬虔な想い・・・そんな感情が湧き上がってきました。

美術を見る、芸術に触れる、そういう真髄がここでは味わえるように思いました。


直島には3年前にできたこの地中美術館の他に、15年前にできているベネッセハウスミュージアムがあります。(ここも安藤忠雄氏設計)

地中美術館からまたバスで数分。
バスが行ったばかりだったので歩いてみようと出発したのですが、途中で道に迷うわ、アップダウンがきついわで往生しているところへ、運良く送って下さる車が現れ(どう見ても迷ってる私を、わざわざ戻ってピックアップして下さった!旅の道中ではこういった地元の方の親切がとてもありがたいですね☆)ベネッセハウスミュージアムにたどり着くことができました。

この美術館と『家プロジェクト』については又つぎの日記に続きます。

小さなホテル奈良倶楽部