2009年12月15日火曜日

「五十二段」いまは昔

 

ただ今、工事中の「五十二段」。
猿沢池と興福寺の間の石段で、その名の通り52段あります。

明治31年に、この石段が改築されて以降、本格的な修理は行われていないので
石材の継ぎ目に段差ができ、表面も摩耗して、躓きやすくなっているという。
110年ぶりの解体修築は、石材をすべて外して整地した後に
すべり止めの刻みを入れて石材を戻すという工事です。

ただ、この工事が始まったのが、秋の観光シーズン真っ直中。
そして、なんとも無粋な覆いで囲っているところが
景観が台無しになると、ブーイングの的にもなっていて・・・・。
本当に、初めて奈良を訪れた方が、こういう場面に遭遇したらがっかりされるだろうなぁと思います。

工事が始まる頃に、ちりんさんのブログにも写真が載っていましたが
先日、このあたりを通った時はこんな風でした。
  

で、これも先日、奈良倶楽部の図書室の蔵書を何気に見ていましたら・・・
 

明治31年撮影の「五十二段」工事中の写真(下↓左)と
真ん中に広い踊り場があった、明治20年頃の写真(下↓右)が載っていました。
 
すごい!もっと以前は踊り場があったなんて。

110年前の改築は、大和郡山在住の土木石工職人 石田松吉さんの施工です。
ゆったり広々と設計されたその石段で、多くの修学旅行生達が記念写真を撮ったことと思います。
私も小学校時代、奈良公園への遠足で、ここで記念撮影したことを思い出しました。
今回の解体修築で新たに生まれかわる「五十二段」。
ここでまた、奈良への旅の思い出がたくさん育まれていきますように。