2009年2月8日日曜日

奈良国立博物館 特別陳列「お水取り」


お水取りの時期に合わせて、毎年恒例この時期に開催される
奈良国立博物館の「お水取り」展を観てきました。

出陳品の主なものとしては・・・

二月堂は1667年の修二会行中、内陣からの出火により焼け落ちます。
すぐさま東大寺の願いにより、江戸幕府から支援がなされ
幕府お抱えの大工らが中心になって2年後に二月堂は再建されます。

今年はその再建後340年にあたり、初出陳となる「二月堂地割図」
(これは再建設計図でかなり大きいサイズでした)や
「年中行事記録」など再建の様子を知る上で貴重な史料や

その焼け跡から発見された「紺紙銀字華厳経(二月堂焼経)」や


焼損した「二月堂本尊光背」などが
展示されています。


また実際に用いられた法具や衣類や過去帳などの展示や、
内陣や礼堂の様子を再現して、練行衆の声明を流したりと
お水取りの行法をより理解できる展覧会になっています。

東新館一室だけの展示ですが
落ち着いた色のトーンと照明で統一された展示空間は
静かで厳かな雰囲気が醸し出されて空間としての魅力も素敵でした。

今回は文書や絵画の出陳が多いようにも思いましたが
その中で「二月堂縁起」に
描かれている二月堂は
とても華やかな朱塗りで、ちょっとびっくりな感じがしました。

また焼け跡から見つかった「二月堂焼経(やけきょう)」は
紺色の紙に銀色の文字が美しく、下段がビリビリと焼け焦げて
波形に焼損しているところに同じ紺紙で裏打ちして修復したものですが

ちょうどこの1ヶ月の間に同じ「二月堂焼経」を3箇所で
見ましたので、不思議な気分でした。

「杉本博司 歴史の歴史」展

「白洲次郎と白洲正子」展

帰宅してから、図録やパンフから写真を撮ってみました。
サイズ(長さ)は杉本さん所蔵の焼経110cm、白洲さん55cm。
杉本さんのは破損具合が大きいが焼け焦げた跡の形状がダイナミック。
白洲さんのは美しい文様になっていて、きっと好みだろうなあと推察。

話がそれましたが、こうして見比べてみると
今回展示されている焼経は焦げ部分も少なく美しいものだと思いました。

お経の一巻がどれほどの長さか知りませんが
館内のガイドの方の話によりますと
この焼経は幾つかのお経から破損具合の綺麗なものを
継ぎ足して一巻にしてあるそうで
なるほどよく見ると継ぎ目が変な箇所もありました。
(読める人が読むと、つながりのないお経になってる所もあるそうで)

で、不要になった部分が古美術として市井に出回ったのかしら?
白洲さん所蔵の焼経は寸法が短かったものね。。。
(・・等と余計なことも考えながら鑑賞してました)


それにしても「二月堂本尊光背」の神々しかったこと!
光背の一部分がデザインされた展覧会のパンフレットは
紺と黒色の色調が暗い感じで、その素晴らしさはわかりにくいけれど

実際の光背には確かにこの前に十一面観音さんが立ってらっしゃったと
感じられるオーラのような神々しさがありました。

・・・・ところで絶対秘仏の十一面観音さんはこの火事の時は
どんな騒動だったんだろうと想像してみたり、

室町時代の文書には小観音さんも十一面観音さんも
その姿が描かれていて、その時代には絶対秘仏ではなかったのかしら?

・・・とか何とか色々考えながらの鑑賞でしたが
お水取りの世界を少し先取りできた気分で楽しいひとときでした。

展示室最後には写真家・木村昭彦さんの撮られた修二会の色々な場面が
写真展示されていました。木村さんの写真集は奈良倶楽部の図書室にも
置いていますので、またご覧ください。


また併設の平常展「仏教美術の名品」展も、かなりのボリュームで
『奈良国立博物館だより』を

読んで鑑賞すると、よりよく理解できとても見応えのあるものでした。
眼福、満福でした。

博物館入り口には籠松明が


特集陳列「お水取り」

会場:奈良国立博物館東新館
開館時間:9:30~17:00(3/12は19:00まで)
休館日:月曜日(ただし3/2,3/9は開館しています。)
観覧料金:大人500円 高校・大学生250円 中学生以下無料
(2/22は夫婦で鑑賞の場合、半額になります。)
公開講座:2/14 13:30~15:00「修二会 行と祈り」


:::

博物館の向かいに「ふれあい回廊夢しるべ風しるべ」があります。
その中の「天平庵」さんの焼餅♪
これ好物です♪
鹿柄がかわいいでしょ^^
雪の結晶は春になるとどのような模様に変わるのか楽しみです。

小さなホテル奈良倶楽部