2008年3月12日水曜日

修二会こぼれ話⑯~ナムカンナムカンと心の中は・・・~

今日12日は一段と大きい籠松明が上がるので、
そして深夜に若狭井から汲み上げるお香水を十一面観音さんにお供えする
「お水取り」も行われるので、奈良じゅうがわさわさとすごい人。

今晩奈良倶楽部にご宿泊いただいているお客さまのほとんどの方も
明け方4:00まで最後のダッタンをみて帰ってこられるよう・・・。

少しでもゆっくり休みたいからと朝食無しの方もいらっしゃれば
明朝9:00からの春日祭もはずせない!というパワフル観光組の方も。

こんなに近くにいるのに、まだ「お水取り」も「ダッタン」も見たことがなく、
ひたすら体力温存に努めて今年も12日はおとなしくしていましょう・・・。

という訳で、昨晩が今年のお声明聴き納め、最後かもしれないと
夜遅く消灯してから、こっそりと二月堂まで車を走らせ
またまたじっくり聴き惚れておりました。

「南無観自在」ナムカンナムカンナムカンナムカン
修二会が始まってからずうっと心の中で鳴り響いている
色々な節回しのナムカンジザイ 今の私のヘビロテ

この声明の終わり近くに行われる「五体投地」
全身を地に投げて仏への帰依を示す最上の礼法

ダンッと乾いた音が静かな堂内に響くその一瞬。
何もかもが空になって無我の境地。

頭の中でぐるぐる回っているナムカンの音の残像。
そして ダンッ!

修二会の不思議な魅力にとりつかれた人は多い。
みんなそれぞれどこか自分のツボにはまったところがあるのでしょうね。

0時も半時ほど回って、この日の行も終わり。
童子の持つ松明の灯りに導かれ練行衆が「チョーズ、チョーズ」のかけ声とともに登廊を一気に駆け下りていかれました。




「チョーズ」とは「手水」のこと。
「手水、手水」と叫ぶのは、練行衆が留守の間に天狗がいたずらをしないよう、
手水に行くだけですぐ戻るぞと知らせるためらしいです。
天狗の存在が本当に信じられていた時代からずうっと続けられていることなんでしょうね。


帰り道に知人とばったり。
聞けば、1日から毎晩仕事帰りに二月堂に立ち寄って最後までいるのだそうで、今年は14日間籠もるのだという・・・
彼女もとりつかれた人の一人なんだ・・・。

小さなホテル奈良倶楽部