奈良倶楽部から般若寺の方に歩いて20分、
奈良阪町にある奈良豆比古神社(ならづひこじんじゃ)では
今日10月8日(秋祭りの宵宮)の夜に
芸能史的に極めて貴重な「翁舞(おきなまい)」が奉納されます。
これは能楽の原典といわれ、
地元の翁講の人々によって口伝で伝えられて来た素朴で古風な舞です。
(奈良県の無形民俗文化財 です)
写真撮影OKだったので撮ってきた画像をアップします。
少しだけでも雰囲気を味わって下さいね。
夜8時から、演者は次々と神社拝殿に出て、本殿の神様に向かって拝礼をして着座していきます。
皆さんが勢揃いされました。
一番最初は「千歳(せんざい)の舞」。千歳という男児(10~15歳)が一人で舞い、謡います。
中々堂々と舞い、見ていてもあぶなげないです。
次は「太夫(たゆう)の舞」 翁のお面をつけた太夫が最初は一人で舞い、
次に太夫と、同じく翁のお面をつけた脇(わき)二人の3人で舞う「翁三人の舞」
翁達は神様の方を向いているので、後ろ向きの写真しか撮れませんでした^^
次に、三番叟(さんばそう)の前舞。お面なしでまず舞います。
そして「千歳と三番叟との問答」の舞です。
「翁舞」で特に古い形態を残しているのが、この千歳と三番叟との問答です。
三番叟が千歳に話しかけると千歳が正面を向き、千歳が三番叟に話しかけると三番叟が正面を向くという、互いに向かい合うことのない問答で、神に語るといった形式を取っています。
これは、「翁舞」独特の姿を示すものとして注目されています 。
最後が、面をつけた三番叟による後舞です。
かなり激しい動きで舞います。
そうして舞うこと50分あまり、最後はまた一人ずつ神様に拝礼して舞台を去っていきます。
翁舞は町内の「翁講・保存会」の人たちによって演じられています。
古くは、40戸ほどの翁講で伝承されてきましたが、
最近の少子高齢化で講中も減少の傾向にありますので、
後継者の養成と保存を図るべく努力されています。
演者(千歳・太夫・脇2人・三番叟)は、毎年9/21にその年の役が決められ、
9/23から一週間毎夜練習をして、10/4には神社拝殿で仕上げの予行をされます。
翁舞の詞は口伝えであり、舞いや演じ方も直伝であります。
神社には翁面をはじめ、多くの室町面が残っていて
奈良国立博物館で保存されていますが、
10月8日~10日は、境内の神社資料館で能・狂言の面の公開(10時~15時)をしています。
今日は翁舞が終わってから夜10時頃まで開けてくださっていたので
帰りに寄ってみました。
ぎりぎりの時間に行ったので、あまりいい位置から写真を撮れずに
ちょっと見にくいかもしれませんが、新米レポーターのご愛嬌ということで^^
帰りはのんびり夜道を歩いて帰りました。
家々の庭先から金木犀の香りが密やかに匂ってきて・・・
秋の夜、
そうそうこれは神様へのお祭りだったんだと再認識。
小さなホテル奈良倶楽部