2010年3月6日土曜日

二月堂修二会「お水取り」2010*籠松明の部品作り

 
上の写真は、3/12に上がる ひときわ大きいお松明「籠松明」です。(一昨年撮影)
この籠松明を作るのも童子さん達の仕事ですが、1日で作り上げる訳にはいかないので
3/1から毎日少しずつ3/4までの間に、部分的な作業を済ませておくのだそうです。

3/1のお昼すぎに二月堂へ行った時に、ちょうどこの部品作りの作業をされていました。
手際のいい仕事ぶりの写真を撮らせていただいても(勿論仕事の邪魔にならないように)
こちらに知識がないものですから何が何だかよくわからず
あまり詳しくお尋ねするのも邪魔になりますので
帰宅してから小学館の「東大寺お水取り〜二月堂修二会の記録と研究」を参照してみました。

では、まず3/1の様子を写真でどうぞ。





「東大寺お水取り〜二月堂修二会の記録と研究」によりますと
1日には・・・
籠松明の頭部ののどくびに当たる部分を取り巻いて、シンの強度と重さのバランスを取る「ネッキ」六つを作るのだそうです。
「ネッキ」とは、経3~4cm、長さ20cmほどの雑木、一端を削ってとがらせ、それを3本ずつ束ねたもの。


本を読んでもよくわからないのですが
行って見たら何かわかるかなぁと翌日も二月堂へ行ってみました。
3/2の様子です。




同じく何が何やらわからないので本に書いてあったことを記しておきます。
2日には・・・
松明の竹に差し込んで頭部を形成するシンと「ノドワ」を作る。
「ノドワ」とは、竹の先端を漏斗状に開き、松明の芯を差し込んで竹に固定させるための、大小2個の輪。
割竹と藤づるで作る。
帰ってからこの文章を読んだのですが、う〜ん、「ノドワ」??
ノドワってひょっとして3/1の写真の一番上の左に映ってる輪っかのことではないのかしら?
ちょうど大小2個あったし・・・。それに頭部を形成するシンというのも3/1に作ったもののような気がするし・・。
それに、この本の3/3の部品が「ハネ」とあるのですが、この「ハネ」が3/2の部品のような気がします。

3日には・・・
松明の頭部を包んで保護し飾るための「ハネ」6本を作る。
「ハネ」とは松明の頭部を籠目状に包み囲むのに用いる。割竹の表皮に、松のへぎを羽状に結びつけたもの。

そして3日目。この日は、私自身が二月堂へ行けなかったのですが・・。
奈良ブロガー乙女部の部員お二人がお昼頃に
奈良倶楽部においしい和菓子を届けて下さった帰りに二月堂へ行くとおっしゃるので
これはチャンスと「奈良倶楽部通信」用の写真撮影をお願いしちゃいました。
  
上がしをんさん撮影の写真です。↑
下がちりんさん撮影の写真です。↓
   

う〜ん、これまたわからない・・・。

そして部品作りの最終日である3/4。
ちょっと遅れ気味の時間に行ってみましたら、童子の皆さん、ゆっくり休憩中のところでした。
「あ、あの〜」と恐る恐るお尋ねしましたら「あ、もう終わったで」とあっさり言われてしまって。
あんまり残念そうな顔をしていたのでしょうね。
「今度は8日に組み立てるからなぁ」「9時頃から来たらええわ」と教えていただきました。
でも朝食やらチェックアウトやらお掃除やらで午前中は出かけられないのです。残念。

お尋ねできそうな雰囲気だったので、「ノドワ」の疑問も聞いてみました。
昔は全ての部品を童子さんで手作りされていましたが
3/1に見た大小の輪っか2個(これが「ノドワ」と呼ぶのかどうかは確認していない)は
桶屋が作ってくるものだそうでした。本に書かれている時代と今では多少違いがあるのでしょうね。

では本に書かれていた4日目の作業は
4日には・・・
シンに打ち込んで松明の燃える部分となる「松明木(しょうみょうぎ)」200本ほどを作る。
「松明木」とは、松明のシンに打ち込んで頭部を形つくる松の割木。2cm角、長さ30cmほどに割り、一方の先端を削いで打ち込む。

その後、この「籠松明」に関しての流れとしては

3/7午前中に籠松明用の根付きの竹をクジ引きで選ぶ。

3/8 9:00頃に「松揃え」
「松揃え」とは、籠松明に用いる根付きの竹の長さを計って揃える行事。
細殿の階段の下から4段目あたりからここまで、という程度の目算で決めるそうです。

「松揃え」が済んだ後に籠松明の仕上げにかかるのですが
仕上げの様子を取材した昨年の朝日新聞(3/11朝刊奈良版)を
切り抜いて残していましたので 
その紙面の写真を使って、全くの受け売りを披露致しましょう^^

写真左:竹の先端を漏斗状に割り開き、ノドワ(喉輪)と呼ぶ大小2個の割り竹の輪をはめ込み固定する。
写真右:漏斗状に開いた竹の本体にシンを差し込んで、竹とシンを完全に固定する。

 

写真左:このシンに打込(松明木)を無数に打ち込む。
写真中と右:更に杉葉を差し込んで、直径70~80cmほどの球形に仕上げる。
   

写真左:薄板のハネを取り付け全体を籠状にくるむ。
写真右:ハネを折ったり割ったりしないように慎重に編む。
 

最後に化粧板(やすいた)と呼ばれる杉の薄板で囲んで花のように仕上げる。


長さ8m、重さ60~70kgにもなる「籠松明」
使われる材料も竹と木と藤蔓だけという、シンプルながらも
複雑な構造と美しさを兼ね備えた、さながら芸術品のようなものですね。

3/8の9:00頃に二月堂へ行けば、この様子がご覧になれます。
また出来上がった籠松明は食堂や仏餉屋の軒先に立てかけられています。(トップの画像)