2009年2月20日金曜日

修二会こぼれ話21~別火入り~

二月堂修二会(お水取り)の本行を前に
いよいよ今日から「別火」と呼ばれる前行が始まります。

東大寺戒壇院の別火坊に練行衆一同が入られる「別火入り」は
夕方遅く(19:00頃)の時間。私はちょうど仕事中の時間ですので

お散歩がてら、お昼過ぎの別火坊の様子を覗いてきました。
ちょうど練行衆一同の、参籠に必要な法具・寝具・衣類などの
荷が童子さん達によって、別火坊に運ばれていたところでした。


許可を得て別火坊の入り口あたりを撮影させていただきました。
練行衆の行中の道具が全て入った「葛(つづら)」が並べられています。

葛の横面には各練行衆の定紋が大きく貼られています。
       
この、長い竹の箒は二月堂内を掃除する時に使うものだそうです。
箒の足元には「注連縄」がたくさん積まれています。

明日の「社参・試みの湯」のあと、遠敷神社から撒かれる注連縄です。

二月堂の北東に位置する遠敷社
 お松明見学のところも
竹の柵を作られていたりと裏方仕事も準備が着々です。

二月堂松明上堂の登廊
 漆喰の壁には
松明の炎で描かれた煤のアート。

今年も、まもなくと思うと気持ちもわくわくです☆


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参考までに:別火とは・・・

◇「別火」とは、本行へ向けての準備期間。
2/20~2/25までを「試別火(ころべっか)」
2/26~2/28までを「総別火(そうべっか)」と区別し、
11人の練行衆たちが本行に先立ち、戒壇院内にある別火坊に篭り
行法中の寝起きを共にして、供え物や身に付ける物の準備から、
本行へ向けて精進潔斎する期間です。

◇試別火では、本行での声明の稽古、須弥壇を飾る椿の造花作り、
沢山の灯明の灯心作り、練行衆が着る紙衣の準備、
二月堂内で履く「差縣(さしかけ)」の修理など、
昔ながらの方法で人々の手によって準備が施されます。

◇総別火の期間になると、練行衆の出で立ちも紙衣になり、
糊たき、法螺貝の稽古など、
より厳しい制約の中で修行が進められます。

◇「別火」とは世間と火を別にするということを意味しますが、
別火坊では修二会の準備のために新たに起こした火を使って生活をします。

◇別火坊入りした練行衆は、世間の火にあたったり、
別火坊以外の火を使った食事を取ったりすることが厳しく禁じられます。

◇まだ試別火期間中は、自坊に洗い物を持って帰ったり、
境内であれば所用をすますために日中であれば外出することもできますが、

◇総別火になると行としての規制がさらに厳しくなり、
いでたちも紙衣(かみこ)という紙の衣となり、特定の場所以外では私語も一切禁止となり、
そろっての食事等以外は湯茶も自由には飲めず、所作、作法も厳しくなり、
部屋の外に一つある火打ち石で点火した火鉢以外は一切火の気がなくなってしまいます。
勿論外出などは論外で、部屋から出るときは屋内でさえ白鼻緒のわら草履をはき、
各自一枚所持する「てしま(ござの一種)」の上以外は他の場所に座ることさえできなくなってしまいます。



小さなホテル奈良倶楽部